2月は,修士論文・卒業論文の指導や,発表会での審査のほか,来年度(2026年度・令和8年度.略してR8)のシラバスに時間をとりました.
担当授業のシラバス改訂に要する手間は,ほんの少しです.教務委員として関わる科目について,担当教員とのダブルチェックで,シラバスの各事項に適切な事項を記載しているかなどを点検する作業は,依頼メールを読みながら,簡単ではないなと思いました.
点検にあたり,1名の教員の協力を仰ぎました.対象科目は学部・大学院合わせて80を超えます.Excelのシートで工程管理をすることにし,担当教員には閲覧のみ,点検する教員は編集可能の権限を設けました.自分(ともう1人の教員)が担当教員の科目は相互に点検をし,それ以外はセメスターで点検担当を分けてみると,同数ずつになりました.
シラバス点検を指示された期間の,たしか最終日より1日前のことです.ある科目の「授業の概要・ねらい」の欄を読んで,立ち止まりました.数百文字の文章に,「基礎」と「基本」の語を見かけたのでした.
「基礎」と「基本」の違いは…当ブログの開設2年目に,取り上げていました.
基礎はfoundation,基本はbasis.手元の英辞郎で,それぞれ形容詞形を調べると,fundamentalは『基本となる、基本の、基礎の、基本的な、根本的な、抜本的な、欠かせない、必須の』,basicは『基礎の、基本的な; 簡単な、簡易の; 必要最小限の』とあり,ニュアンスの違いが確認できました.
そういえば学生時代に所属していた研究室は,情報基礎学講座という名称でした.どなただったか先生が,「研究するのは情報の『基礎』であって,『基本』ではないのです」とおっしゃっていました.
検索してみました.中学や高校では「基礎・基本」と一括りにされやすいことや,「初歩的で簡単な(elementary)」という日本語・英語表現を,知ることができました.
ところで自担当の学部3年の講義科目,ネットワークセキュリティのシラバスに,「基礎」を使用しています.「授業の概要・ねらい」を含む授業概要ではなく,各回を記した授業計画です.第12回の主題を「セキュリティ基礎」としていて,計算理論や,PとNPなどを,内容に挙げていました.
「基本」と書いていませんが,セキュリティの基本として,何を教えなければいけないかというと,例えば,システムのセキュリティは最も弱い(最も強い,ではなく)ところによって決まる,というのが思い付きます.それから,平文を暗号化して暗号文を作り,盗聴可能な通信路を介して受信者がそれを受け取って,復号してもとの平文を獲得するという,秘密通信のモデルは,暗号の基本であり,これを暗号の基礎と呼ぶのには抵抗があります.
「基礎」と「基本」を概要・ねらいに記載したシラバスには,要修正箇所がないことがないことを確認し,前述のExcelシートに,点検の結果問題なしとする「1」を書き込みました.
シラバス点検についてですが,作成・点検を行う教員が参照のできるガイドラインを何度も参照し,事項に合致していないところがあれば,Excelシートに記載し,担当教員に修正を依頼しました.もう1人の教員から,自分のシラバスの内容に対し記載不足の連絡をもらいましたが,ガイドラインが改訂され,何を書く必要があるのかが変わったのですよと返信しました.