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基礎と基本

先日,ある会議に出席し,その中で一人が「基礎を学んでほしい」と発して,会議の進行を忘れて,少し考えこみました.
学生が学んでおくべき基礎とは何なのか.それをどのように教えるか.
会議が終わって帰宅して,そういえば自分の日記で書いたことがあるなと,見直しました.

基礎から積み上げる学び.基礎に降りてくる学び.
なるほど.応用例を先に挙げて,それを理解するとか,自分で実現するために必要なものが,その基礎ということになりますね.
そうして,分野…自分の場合は情報通信…の様々な種類の応用にとって基礎になるものを,基盤技術として規定すればいいということか.
これは「基本」か?
いや,基礎と基本は微妙に違う.ちょっと調査しました.
基礎はfoundation,基本はbasis.手元の英辞郎で,それぞれ形容詞形を調べると,fundamentalは『基本となる、基本の、基礎の、基本的な、根本的な、抜本的な、欠かせない、必須の』,basicは『基礎の、基本的な; 簡単な、簡易の; 必要最小限の』とあり,ニュアンスの違いが確認できました.
そういえば学生時代に所属していた研究室は,情報基礎学講座という名称でした.どなただったか先生が,「研究するのは情報の『基礎』であって,『基本』ではないのです」とおっしゃっていました.
Googleで「基本 基礎」を調べてみると,トップに来たのは「平成18年度基礎基本定着状況調査報告書」.ほか,基礎と基本が対等に並んでいます.少し順位が下がったところに,学会の研究会で,基礎と基本の語句を使い分けているものがありました.

(略)しかし、より深い解決のためには、すでに定式化された理論に関する研究だけでなく、その定式化に至る知的処理に関する深い洞察も重要です。このため、本研究会は、従前の「人工知能基礎論研究会」という名称を改め、理論だけでなくそのような人工知能の基本問題に立ち返る立場を明確にするために「人工知能基本問題研究会」(SIG-FPAI)として、新たな出発をすることにいたしました。

http://www-ikn.ist.hokudai.ac.jp/sigfpai/

「基本」で,自分の記憶を掘り下げるか…会議の翌夕のバスで,ふっと浮かびました.柔道です.
柔道は,礼に始まり礼に終わる.
礼は基本です.立礼,座礼.
国際大会で,他国の礼の仕方はばらばらですが,日本人選手は,試合の始まりにせよ終わりにせよ,礼をするタイミングが一定しており,清々しさを美しささえ感じました.
礼だけを反復練習する選手はいないにしても,道場の出入りに始まって,打ち込みや乱取り,練習試合や公式試合を通じて,数え切れないほど頭を下げ,テレビの向こうで,選手として畳の上に立っているのだなというのが見て取れます.
さてそろそろとりまとめを.
基礎は学ぶもの,基本は身につけるもの.
基礎と対比するのは応用,基本と対比するのは態度.