わさっきhb

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学んでほしいのは「とは力」

昨日書いてから,いろいろ改訂したいことに気づきまして,新たにエントリを作りました.
表題にある「とは力」は,「とわりょく」と読んでください.「〜とは?」に着目して,物事を説明したり,物事の背後に潜んでいるものを発見したりする能力のことです.
物事を,それを知りたい人にとって分かりやすく説明する能力が,求められています.
とりわけコンピュータについては,「苦手」や「アレルギー」を表明したり,あるいは「あんたコンピュータの学科出てるんだから知ってるでしょ」とか言ったりする,上の年代の人と仕事をすることになるかもしれません.
あるいは,アルバイト先や就職活動でコミュニケーションをとるとか,塾や家庭教師で生徒に「先輩の顔」を見せるとかでも,「とは力」は大いに役立つでしょう.
「とは力」の基本は,以下の問題意識です.

  • Xとは,一言でいうと,何か?
  • Xがあれば,どんなときに(何を対象として)何ができるか?
  • Xと似た(共通点を持つ)ものがあるか? それはXとどう違うか?
  • Xを使うのに,どれくらいの(人的・時間的・金銭的)コストをかければいいか?
  • 上記のこれらの質問に対して,3つ以上の答え(説明のしかた)が思いつくか?

この箇条書きは,昨日の「説明力」とだいたい同じですが,「3つ以上の答え(説明のしかた)が思いつくか?」を追加しました.説明のしかたが一つだけだと,「融通がきかない」と評されることになります.相手の知りたいこと・知識(知っていること)を推測して,的確に説明するためには,様々な表現で説明し,聞き手の顔色を見て*1,必要なら別の表現もとることも欠かせません.
まずは,授業や趣味で,自分が使っているコンピュータを,人に説明できるようにすることから,始めるのがいいでしょう.ということで例題です.

  • Linuxって何ですか?
  • Windowsだけがパソコンじゃないの?
  • 1台のパソコンで,LinuxWindowsも使えるの?
  • プログラムって,簡単に作れるものなの?
  • 銀行の暗証番号って,「1111」でええやろ?
  • コンピュータに仕事を任せてばっかりいると,そのうち,俺らの仕事がなくなるんかなあ?

順に補足しますと,

  • Linuxって何ですか?

一見,「Linuxとは?」の答えを考えればいいだけのように見えますが,意外と難しいです.質問者が何を求めているか*2に注意して,答えることになります.類題に「犬って何ですか?」*3があります.

  • Windowsだけがパソコンじゃないの?

この質問は,「パソコンとは?」と「OSとは?」に分けて答えるといいでしょう.

6階演習室のことですね.つまり,この質問に答えられるようになれば,「自分が大学内で使っているもの」が説明できることになります.「デュアルブートとは?」から自習して,答えられるようにしましょう.

  • プログラムって,簡単に作れるものなの?

この質問をする人は,「プログラムとは?」に対するイメージがおぼろげにあるものなので,「プログラムとは?」にストレートに答えようとすると,そのイメージを壊しかねません.むしろ,「プログラムを作ること(プログラミング)とは?」を考えるほうがよさそうです.

  • 銀行の暗証番号って,「1111」でええやろ?

良し悪しの前に,「とは力」を活用して最初に浮かび上がるのは,「暗証番号とは?」です.関連して,「なぜ銀行の暗証番号は,4桁の数字か?」も答えられるといいですね.

  • コンピュータに仕事を任せてばっかりいると,そのうち,俺らの仕事がなくなるんかなあ?

どこに「〜とは?」を求めるか,少し迷いますが,例えば,「コンピュータが実行できる仕事とは?」というのはいかがでしょうか.

「とは力」に王道はありません.日々,読むこと,書くことです.まずは読みながら,「問題意識」に基づいて自問する習慣をつけてみてください.

*1:「メールは顔色が見えない」という評価がよくありますが,文字のみのコミュニケーションでも,努力次第で「顔色」が見えるようになってきます.私自身については,学生時代のメーリングリスト,それとNetNews (fj)で鍛えられました.その分,口での会話で顔色を見るのが苦手ですが.

*2:卒論などで書くのなら,「どの観点に基づいて,どこまで書けばいいか」.

*3:中学3年の国語で聞かれて,苦労しました….