わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

大学生が変わる(5): グループ発表の意義

(略),テーマ(主題)である社会問題は,すべての人間にかかわる普遍性と共通性とをもつことから,必然的に自己認識,自分の生き方,社会と対決する姿勢などを,個々人すべてに問うという本質をもっている.それは学生に対してアイデンティティーの形成を迫る.その際,共同研究の学生集団内部に教育的な関係性が作られていくことが重要であり,それは学生個々人の内と集団内部に,「社会的能力(人間関係能力)」の成長発達をうながす.事実,充実した学習研究は学生間に友愛や親密さを深め,協働や社会的能力を高めている.逆にまた,協同する力や社会的能力の高い学生集団(学習共同体)は,学習研究の水準や成果を充実させている.
こうした関係のなかで,各人はテーマと学習集団に深くコミットすることを求められる.共同研究グループが学生群のなかの親密圏から構成されていればなおさらのこと,全面的・全人格的なコミットを相互が期待し求めることになる.こうして,抜き差しならぬ関係のなかで,自己の総体が問われる.それゆえにまた,共同研究集団は学生の成長発達にとって,本質的で全面的な関係性を用意し設定することになるといえる.
(大学生が変わる, p.212)

学生どうしの「共同研究」*1について,教員(著者)は進め方の大枠を示し,あとは文献調査,取りまとめ,発表まで学生が主体的に行っていくという流れを概説したあと,学生にその作業をさせる意義を述べたのが,上の引用です.
実施者数やテーマの与え方の違いはあるものの,自分が関わっている学生に対しても,「単に分担して作業するのではなく,自分の作業の価値や意義を,まず自分の中で展開し,次にグループ内で開陳し,最終的にプレゼンの場でアピールして,そのつど批評を得ながら確認していく」作業が,社会的能力・人間関係能力を高めることに気づかせるよう,指導していきたいものです.

*1:本ではこの表現が用いられていますが,自分にとって「共同研究」は,大学と,学外の企業か団体とで契約の上,実施する研究をイメージしてしまうんですね….