英語論文を作成したり添削したりする業者があるんだから,学会で口頭発表するための資料を添削したり発表指導をしたり,想定質問を考えたりする会社や個人がいてもおかしくないなあと,先月の出張中にいろいろな発表を見聞きして,思うようになりました.
とはいえ最大のマーケットは,大学内,修士論文・卒業論文の発表です.
教員・先輩の指導に要するエネルギーは,全国合わせると膨大なものです.プレゼン指導の外注化が制度化されれば,負担は減るだろなという楽観的推測です.
このとき,学外でする必要はありません.これまた大学内で,DC学生,OD,PDの人に協力してもらうのです.彼らには大学または研究室から謝金を出します.適切に制度化すれば,研究成果を外部に漏らすリスクを減らせますし,「発表指導だけであって研究内容に関与しない」*1ことにもできそうです.
その一方で,モグリのプレゼン指導といいますか,指導教員の知らないところで学生個人が業者に発注して,それを使って発表したら,「あれ,突然,変にいいのができたな.誰かが手入れしたか? 外注で丸ごと作ってもらったか?」と不審に思う聴講者が出ることになります.
対策としては2つ思い浮かんでいて,一つは,作成協力の業者名を発表スライドに入れるのを明記し,もしそれを書かなかったり,消したりしたことがバレれば,卒論・修論取り消し,あるいは再発表*2というルールにすればいいのです.業者名明記で,技術や業者の淘汰にもつながりそうです.
もう一つの対策は,業者側の工夫です.学生個人が気付かなくても「見る人が見れば分かる」ような微妙なレイアウト変更を,業者がしておいた上で,学生に発表用スライドのファイルを納品するのです.うまくやれば,納品後に学生が書き換え,業者色を消そうとしても,見る人が見れば分かるというのは維持できそうです.
関西人だったら「定年退職したら,家を改装して,たこ焼き屋でも開こかな」というのを耳にしたことがないでしょうか.大学教員も,リタイアしたら,プレゼンコーディネータになるか…と息抜きしたところで,自分の研究を再開するとします.