わさっきhb

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複合商品がヒットする条件

日本には,ある商品と別の商品を合体させた新しい商品を「複合商品」と呼んで,開発を重ねてきた歴史がある.ラジオとカセットレコーダーを組み合わせた「ラジカセ」はその先駆けとなった商品だが,カメラ付き携帯電話もこの流れを汲んだものといえよう.
(略) 私は複合商品がヒットする条件として,次の五つの「なければならない」を提案してきている.
条件1「互いの製品の間に複合化する必然性がなければならない」
条件2「機能性の面で1+1=2以上の効果を発揮しなければならない」
条件3「個別の機能が複合化によって軽減されてはならない」
条件4「1+1=1の省スペース性を発揮しなければならない」
条件5「価格は1+1=2以下にならなければならない」
これらをカメラ付き携帯電話に当てはめてみると,すべての条件がそれなりに満たされていることがわかる.
(世界を制した「日本的技術発想」―日本人が知らない日本の強み (ブルーバックス), p.26)

ここのところ,発想支援やものづくりに関する本を読んでいなかったこともあり,書店で目に飛び込んで,即購入した本です.まだ途中までしか読んでいませんが,1章の中で興味深い記述を見つけました.
自分の分野に単純にあてはめようとしても,ハードウェアとソフトウェアの違い,コスト意識の違い*1もあって,合わないところもあります.ただ,学生の研究報告を耳にするとき,よく知られている何かと何かを結びつけて新たなものを提案しているのなら,頭の中でこの5項目をチェックをして,そこから質問したり,システムをより確固なものにしていくのによさそうに思えました.
ところで,上の引用は,複合がいわば対等合併によりなされるような表現ですが,自分の研究分野で見聞きする限り,そして多くの場合で,吸収合併ではないかとも思います.ラジカセも,カセットにラジオをくっつけたわけですし.カメラ付き携帯電話も,消しゴム付きの鉛筆も,同様ですね.
「X付きY」は,英語にすると "Y with X" だから,自ずと,Yが主,Xが従になってしまうのか…*2
と思いを巡らせると,例外発見.レンズ付きフィルムです.販売上の都合でフィルムを主,レンズ(というかカメラ)を従としていますが,多くのユーザは「レンズ付きフィルム? 何それ」ですね.
関連:

(12月8日に修正:"X with Y"⇒"Y with X".ほかあちこち.)

*1:条件5について,自分の分野に翻訳すると,「開発コストは1+1=2以下」になります.一つ一つを別個に作って組み合わせるのではなく,元にある各システムの,できればソースコード,ないとしても開発ノウハウをもとに,効率よく組み上げることが要求されます.

*2:90年代から目にするようになった,歌手の"Y featuring X"も,形式上はYを主としつつも,Xを立てているなあと思ったものです.