「ん,今日は,ママと,あとの子とすえの子とで夕食か」
「そうだね」
「さきの子は,お姉ちゃんの世話係として,図書館行ったんか」
「うーん,お姉ちゃんがさきの子の面倒を見てるかも」
「お目付役ってか.まええわ,みんな座ったんで,いただきます」
「あのさあパパ」
「どしたすえの子よ?」
「キクロンって,何なん?」
「キクロン? スポンジたわし,やんなあ.海南市? 和歌山市? 本社はどっちになるんやったっけ」
「あんたらシュロって,聞いたことある?」
「何それ?」
「知らない…」
「たわしの材料やん.地域の産業で,習ってない?」
「うーん」
「(子どもっぽく)パパもシラナイ…」
「(いつもの声に戻って)あとの子にすえの子よ,そこで勝ち誇った態度かよ」
「パパは大阪で生まれてんから,教えてもらえやんでもええの」
「うわ,多数派切り崩し工作をしてきおったよ」
その後も会話は続くのですが,あとは地の文で紹介したいと思います.「たわしの革命児」こと「キクロンA」の誕生秘話を以下より読むことができ,「シュロたわし」の製造が背景であるものの,「キクロンA」はスポンジと不織布で作られており,シュロは使用していません.
夕食時になぜ,すえの子が「キクロン」を言い出したかですが,2日目の稲刈りが終わったあと,納屋の整理をしていくなかで,籾殻を入れた袋を(翌日の袋詰めのためにカラにしておきたくて)畑に持ち運んで木の周りに撒く作業をしていたときに,すえの子が外を歩いて出かけました.製品名の「ヌカロン」を,「キクロン」と見間違えたのでした.