んで書評です.
論理的にプレゼンする技術 聴き手の記憶に残る話し方の極意 (サイエンス・アイ新書)
- 作者: 平林純
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2009/03/17
- メディア: 新書
- 購入: 19人 クリック: 226回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
- どちらを行,どちらを列にするのかは,「Zの法則」で考える(p.91)
- 正しい表組みの作り方は,『上端行の項目部はセンタリング』『左端列の項目部は左ぞろえ』『数値部分は右ぞろえ』(p.117)
は,今後,学生にも伝えたいものです.
それと,「人生は野球に似ている!!」を中心に置いた図(p.75)は,文脈としては図見出しの通り『あいまいなイメージ(たとえ)は間違いのもと』なのですが,ここは説得力のある例を示すことの重要性,として見ることもできます.
ただ,学生が読むには要注意な点もいくつかありました.まず,企業でのプレゼンを念頭に置いている本なので,そのまま,研究発表に使うとまずいところがあります.『伝える相手のことはかならず調べておこう』(p.48),『簡単なプレゼンにしないといけないことも』(p.51)について,伝える相手のことを知ることがほとんどできないにもかかわらず,簡単なプレゼンで済ますわけにはいかないものです.
改善案に,いくつか「待て待て」があります.p.135の円グラフで,青や紫などの塗りつぶしの上に,黒の文字があるのは読みにくく,フォントの文字色などを見直すべきでしょう.p.139の上のスライド例は,番号付け箇条書きが同じレベルの情報になっていません.同ページ下のスライド例は,図に縮尺の情報をつけないといけません.p.148以降,土星が縦長になっていて,親しみを感じられません.
読み通して読み直して,最も残念に思えたのは,書名の「論理的に」について,せいぜいpp.20-21の2ページにしか書かれていなかった点です.全体としては,「プレゼンを成功させるテクニック集」になっているなと感じました.
ただし,それぞれのテクニックの質は間違いなく,当日記の「プレゼン コメント」より上ですので,口頭発表の技術を向上させたいという研究室の学生には,この本を貸し出したいと思います.