「ただいま〜」
「あなた,ごめんやけど,この子の面倒,見たってくれる?」
「ええよええよ」
「あ,その前に,手洗いとうがい!」
「へいへい」
…
「よっしゃ.夕食前やけど,ちょっと,みかん食べよか.って,食わせてええんかね?」
「(台所から)ちょっとでええんで,あげたげて〜」
「あいよ.あのなあうちの子よ,そのまま口に入れるわけにはいかんねんで.皮をむかんな,食べられへんのや.むにむに….よっしゃむけた.どっちがほしい? 皮のほうがほしいってか!? けどそれ,食べるわけにはいかんぞ」
…
「内皮もむけたんで,実ぃをちょとちぎって,ほりゃ,あーんして.よしよし食たな.パパも残りと半分を食うかな.うむ…あれ,ちと酸っぱいぞ」
「せやねん.当たり外れあるから,気をつけてな」
「気をつけようがないんやが…おっと,この子もすっぱいっちゅう顔やな」
「あんまし食べさせんといてや」
「あいよ.まあもう1回やな.ってお前,俺が左手で握り込んでた,残り半分のみかんをつつくんか!?」
「この子,隠してても分かるで,自分の好きなもんは」
「パソコンの隠しデータも,そのうち暴きそうやな…」
「あなた,そんなんあるの!?」