わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

柔道を通じて何が言えるか,自分なりに考えてみる

重い課題を突きつけられた感があります.会に関しては,設立趣旨の中の『そして、それは、起こった者にしか解らないものです。』という一文が象徴していますので,こちらとしては,少々距離を置いて,活動を見ていきたいと考えています.
少々プライベートな話を含みますが,妻曰く,つきあいのある親類で同じ姓*1の者はいないとのこと.まあそもそも,上記の記事や会で見かけるお名前の方とは,面識がないのですが.
柔道から学んだことで,今までに書いたことがないものはないか,思いを巡らせてみました.
まず,見えるところ,見えないところの人の絆を,引っ張り出すことができました.中学の柔道部では,教室の床に畳を敷いて,練習していました.乱取りをするのは,多くても全体の半数とし,壁際の投げ技には,人が立ってクッションとなりました.畳について,自分が後に通うことになる高校へ軽トラで行き,古いのを分けてもらったと,顧問の先生がおっしゃっていました.そういえば,顧問の先生の出身高校の柔道部へ行って練習したこともありました.
柔道を通じて,「我が身を大事にする」という心の持ちようを得たとも,感じています.別の言い方をすると「ヒーローは(現実には)いない」です.
そんなこんなの記憶をもとに,もし今柔道の稽古に励んでいて,先生や先輩の厳しいシゴキに遭っているが,親にも言えないんだけど,何気なくこのエントリを見つけたという人へ,僭越ながらアドバイスを送れそうです.
「我が身を大事にする」といっても,(肉体的・精神的に)しんどければ休む,というわけにはいかないのですね.であれば,稽古の中で,「大事にする我が身」を自覚しましょう.例えば…これがうまくいく保証はないので,私案であることを明記しておきます…投げられたら,きれいに受け身をすること.より正確には,きれいな受け身をしていると,自分で思えるようになることです.
乱取りを数多くこなすと,胴着も身体も,そして心も乱れてきます.受け身や,かけ声や,相手に立ち向かっていく心も,“外”すなわち先生や先輩から見ると「しっかりせんかい!」と怒鳴りたくなるものです(そして実際,怒鳴っているのでしょう).
そんな中でも「大事にする我が身」です.柔道をしているのは,叱られないためですか? 汗をかきたいからですか? 答えは,練習を(ときには試合を)する中で体で考え,稽古が終わってから,頭の中で整理してみましょう.
あともう一つ,アドバイスをすると,部活動と別のところで,自分のこころのよりどころを見つけておくことでしょうか.安心できるものでもいいし,心を奮い立たせるものであってもかまいません.人かもしれないし,場所かもしれないし,本や音楽などかもしれません.

私が,工学系の大学教員となって,研究や学生指導をしながら,少々視野を広げるために何気なく読んだ中で,その後も,ことあるごとに目にする文章があります.大江健三郎「ここから新しい人は育たない」です.手元にあるのは『[isbn:4000025252:title]』で,pp.163-184です.Webで探すと,『[isbn:4062749556:title]』にも採録されているとのことです.

そこの内容を理解するには,少々の予備知識が必要となりますので避けますが,大きなくくりとしては「資料批判」,小さな話としては,書かれている言葉で分からないのがあれば辞書やWikipediaなどを当たることで,中学生・高校生でも読み通せると思います.
しかしそこに書かれている提言から,私が受け取ったのは,歴史教科書や教育ではありません.
自分の経験*2を踏まえて,現状の「困ったもの」*3に対して,それを目にする人とその保護者の方々はどうすればいいかを提案している点です.「目にする人と保護者の方々は」を,「利用者像を想定した上で」に置き換えれば,まさしく「工学」です.
さて柔道の言葉をつかって,まとめに入りましょう.上に書いた中で,「人の絆」と「我が身」は,それぞれ,引き手と釣り手に対応します.一方だけでは技がかけられず(例外もありますが),両方をきちんと持つことが前提となります.しかしそれだけでは,技をかけることはできても,投げることは(相手がわざと投げられるのでなければ)容易ではありません.技を決めるためには,決めようとする自分の強い意志が必要です.十分な練習量が不可欠ですが,練習だけでは決まりません.胴着の内にも外にも,自分の居場所を見つけてください.

*1:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20100302/1267474376.それを書いたときはすっかり忘れていましたが,http://d.hatena.ne.jp/takehikom/aboutにはフルネームを書いていました.

*2:それと,直接的には表現していませんが「強み」「専門性」も.

*3:これも直接的にはそう表現していません.「逆境」というのが類義語ですね.