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情報資産の守り方を学ぶ科目の試験

さてこれから,情報セキュリティの試験を始めます.机の上に置いていいのは,学生証,筆記用具,自筆ノート1冊のみです.ハンカチ・鼻紙*1は,まあいいでしょう.ティッシュの箱を置いている人は,箱でカンニングペーパーを隠していないか,確認させてもらいますよ.
さて試験の前に,アドバイスです.試験の問題や,みなさんが書く答案というのは,それぞれが情報です.「その情報,何万円で買う!」といった,金銭的価値は直接つけられません.ですが,コストをかけて…それが金銭的コストであるとは限りませんが…守る必要のある,情報資産なのです.
そのような,試験に関する情報というのは,時間の経過によって,その資産価値が大きく変わります.具体的に言うと,試験が始まるまでは,試験でどんな問題を出すのかを対象として,その機密性が重要視されます.印刷した問題用紙を漏洩するなんてことがあれば,試験や成績評価の公平性を揺るがすことになります.
学生の立場から,出題前の試験問題の資産価値を考えてみます.毎回の授業に出ていれば,試験対策はノートを見直すぐらいで済みますが,復習をしてこなかった学生にとっては,この科目の試験範囲はずいぶんと広大です.まんべんなく勉強するのに労力を費やすよりは,何とかして試験問題の情報を引き出して,出題箇所に限って下調べするという形で,全体的な試験勉強のコストダウンを図るというのが,効率良く単位習得を図る者からすれば,まあ合理的なアプローチですね.
そうなると…ここで教員側の視点に戻しますが…秘密に保持するのは,問題用紙だけではありません.例えば,問題用紙は学生の目に触れないようにしたとしても,印刷にかける問題用紙の原本を,印刷用の機械に置き忘れて,数分間でも放置した,なんてことになれば,それは情報漏洩の疑惑となります.危ない,あぶない.
そして興味深いことに,試験開始後は…厳密に言うなら,途中入室の認められる,試験開始30分後までとしたほうがいいのですが…問題文の資産価値というは,問題を解いて単位を得ようとする学生から見れば,著しく低下します.
次に,情報資産の価値が劇的に変わるイベントは,答案終了時です.答案を提出するため立ち上がったら,それ以降は,その内容に手を加えることができないのです.試験が終わってから,あそこの問題,ああ書きたかったのに…と思っても,例えば私の部屋に忍び込んで自分の答案を書き換える,ということが行われると,不合格が合格になるだとか,少しでも点が高くなれば研究室配属や就職活動などで有利になるだとかが起こり得ます.よろしくありませんね.ここにも,成績評価の公平性を台無しにする要素が含まれています.
情報セキュリティの言葉でいうと,試験が終われば,各学生の書いた解答の完全性が重視されるということです.
試験問題の中に,試験や解答と,情報セキュリティの三大要素の一つで,今日これまで私が言ってこなかったことを結びつけて論じるような問題*2を…入れるわけはありませんので,ノートと記憶を頼りに,授業で見聞きし考えたことを思い出しながら,解答してください.

元ネタ

  • 参照物に関する追加条件*3:参考書・書籍は不可です.授業で配付した資料,WebでダウンロードできるPDFファイルを印刷したものも不可です.ノートに何か貼り付けているのも認めません.付箋も,飛び散ると好ましくありませんので,不可です.ノートが複数冊になった場合は,テープなどでくっつけておき,試験中にばらばらにならないようにしていれば,OKです.ルーズリーフに関しては,すべて自筆であること,すなわち印刷物やコピーがないこと,それと,バインダに綴じていて,試験中取り出さないこと.この2点を満たすなら,自筆ノート1冊と同じ扱いにします.
  • 「問題用紙の原本を,印刷用の機械に置き忘れて,数分間でも放置した」というのは,数年前にそういう経験があります.1年生向けプログラミング科目で,いつも事務の方に印刷を託すのですが,メールと対面で平謝りされたのを,思い出します.んでまあ日程に余裕もあったので,試験問題は差し替えて,事なきを得ました(のはず).
  • ティッシュの箱を置いている人」は,今期,他の科目の監督補助をしていて,見かけました.足が止まりました.たしかセンター試験や入学試験では,ティッシュペーパーは袋から取り出しておけばよかったのでしたっけ.
  • 世の中の事物と,情報セキュリティの三大要素の一つを結びつけて何か書く,という課題は,昨年度から,1年生向けの入門セミナーで実施しています.その科目を再履修していない限り,今期の情報セキュリティの試験を受ける学生は,目にすることがなかったわけですが.

*1:小学校の時「はなかみ」と教わった記憶があるのですが,今,辞書を引いてみると「はながみ」と読むんですね.

*2:残り一つというと,可用性ですね.答案の可用性は,学生は合格点に届いていると信じていたのに,不合格の評価がついていて,なぜなのかと教員に問い合わせ,解答の内容を確認するときに,必要になります.

*3:授業ページに載せている内容を,話し言葉に直しました.