わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

大学教育における究極の「What if」

いきなりですが,学部教育に携わっている先生方へ,質問です.

あなたが大学に入学したときの学力・意欲の状態で、今の所属に入学して学ぶと,どんな自分になると想像しますか?

「今どきの学生は」から始まって,学力・意欲のなさを嘆きたくなったときには,この質問を思い出し,カリキュラムや授業の内容,また授業(特に演習・実験やゼミ)の指導について,まず自分がそれを好きになれることを目指して,足りないところは改善を図るよう,心がけたいものです.
ともあれ,上の質問について,自分なりにストレートに回答するなら,「今学ぶべき,情報分野の知識を広く,ときには深く,学ぶことができそう.研究室配属ではいろいろ迷った上で,takehikom研究室を第1希望で選んで配属されてそう」です.
とはいうものの,教員が学生になることは現実的にはありませんので,実質的には授業改善を図るための質問です.そういう観点でいうと,私自身,どの科目も「最高の授業」を提供しているとは,到底思っていません.試験問題については,特定の問題を見れば,予想外の正解率の高さや低さ*1になることもありますが,おおむね想定どおりの正解率,そして合格率になっています.後期2年生向けの演習に関しては,すでに今年度の抜本的な改善案を書いています.
学生時代に思い浮かぶことはなかった,指導の試みが,2つあります.

  • 情報セキュリティで,PowerPointファイルを提出するレポート課題.2段階に分けて内容を詳細化しそのつど提出する必要がある.何人か,ラス前の授業で受講者の前で発表する.
  • 研究室内の前期ゼミ.チームワークに関連する能力の向上を目指す.研究室に在籍する限り毎年度参加し,年数の経過による立場の変化についても自習する.

ともに,昨年度に実施したもので,まだ2年分しか蓄積がありません.担当授業と同様に,年数を積み重ねて充実を図りたいと考えています.
それぞれに,もう少し解説を加えることにします.
なぜ「2段階に分けて」いるのかというと,一つは「提出したら終わり(記述内容や,レポート取りまとめの能力について,改善できない)」という考え方を何とかして打破したいという気持ち,もう一つはコピペレポートの早い段階の阻止です.「何人か」の発表者の選定は,こちらで行いますが,第2段階提出時に発表を希望するか否かを申告してもらいます*2.割合は去年も今年も,希望する : 希望しない = 3 : 7くらいです.
「前期ゼミ」は,デザイン能力と密接な関係を持たせています.JABEE対応の観点で言うと,当学科ではデザイン能力は卒業研究で指導しているとしていますが,この前期ゼミで作成した書類がエビデンスとなります.また毎年度実施することで,「デザイン能力の養成は特定の科目で達成できるのか」という疑問への解消を…学生に十分なデザイン能力の定着が見られるかどうかは別にして…試みているのです*3

*1:今期初めて,正解率0%の出題をしてしまいました.といっても全員バツではなく,配点が2点の短答式で,1割程度に1点をつけています.

*2:申告がなければ,発表希望とみなします.

*3:「3年生からtakehikom研究室に入るJABEEコース学生」という条件がつきますが,3年次,4年次の2度,前期ゼミで活動を行い,エンジニアリングデザイン能力の「塗り重ね」を期待しているのです.大学院に上がれば,プラス2年(前期ゼミ2回)です.