- 作者: 大阪の地方自治を考える会
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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前堺市長・前吹田市長が入っているなら,内容は,まあこんなもんでしょといったところ.それにしても,参考文献が見当たらず,奥付前のページの「*一部写真、資料は「大阪維新の会」ホームページ参照」では,裏取りもできません.同じ値段でCDでも買って聴くか,安いDVDを買ってうえの子と観るほうが,精神衛生的にはよかったかも.
ともあれ一番関心を持ったのは,泉北高速鉄道の民営化問題(pp.181-183)です.
中学のときは,年数回の頻度で,将棋大会に行くため泉ヶ丘駅まで,また20代には,運転免許更新のため,光明池まで,電車を使っていました.ちなみに当時の自宅の最寄り駅は南海本線堺駅で,まずバスで中百舌鳥駅のところまで行き,そこから泉北高速に乗っていたので,高いという印象はありませんでした.
(略)和泉中央から難波まで行こうとすると、二社分の運賃が合算されるため、六百四十円という高額の料金となっています。沿線の住民からは、「日本一高い運賃」とか「泉北高額鉄道」と揶揄や批判が相次いでいました。
(p.182)
細かいことですが,乗り継ぎ割引があります.ニュータウンと都心を結ぶ 泉北高速鉄道(Semboku Rapid Railway)で読めますし,駅探で和泉中央から難波への検索をすることでも,「620円」が確認できます.たった20円ですが,このあたりのチェックは欲しいところ.
本文はというと,橋下知事がこれに目を付けるのですが,3行ほど飛ばして…
(略)現堺市長は、橋下知事の応援によって堺市長となりましたが、自身の選挙で「泉北高速が民営化されれば、運賃は安くなります」と訴えていました。ところが相変わらず、泉北高速の運賃は高いままです。一円も安くなっていないのです。
こういうときの「れば」は要注意,でしたっけ.具体的に言うと,物事を推進する際には,「泉北高速を民営化することによって,運賃が安くなるのです」の意味になるのだけれど,事が終わって期待どおりにいかなかったときには「『泉北高速を民営化されれば』という条件をつけてたでしょ? そうならなかったので,運賃が安くならなかったのも,仕方がないのです」と言い訳できる余地があります.
とはいえ,「鉄道事業と鉄道以外の事業を分割せず、一体のまま民営化することを決定したのです」(p.183)とあります.pp.182-183から,その経緯・事情を拾っていくと,こんな感じ:
- 泉北高速鉄道を運営しているのは大阪府都市開発(第三セクター)
- 大阪府都市開発の事業のうち,鉄道部門は赤字,物流部門は黒字
- 南海電鉄が,鉄道部門だけを買い取るのはメリットなし
- かといって,物流部門まで買い取るのも事業として大変
参考にしたもの:
古き良き「堺」は今後,どう変わっていくのでしょうか.それとも,「古き良き」のイメージだけが変わらないのでしょうか.今月,妻子を連れて新米を積んで帰省し,ベビーカーを押して(実母はうえの子を自転車に乗せて),堺まつりで賑わうザビエル公園まで足を運び,妻がうえの子と福引きか何かで待っているときに,こそっと買った……南海バスの「バス型目覚まし時計」を手に取ると,行く末が気になって仕方がありません.