わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

〜をかける,〜を割る

いきなりですが問題です.

「2に3をかけると6になる」*1と言いますし,「6を3で割ると2になる」と言います.
「3を2にかけると6になる」とも言えますし,「3で6を割ると2になる」とも言えます.
このように,「xをかける」と言うときのxは,かける数(乗数)なのに対し,「yを割る」と言うときのyは,割られる数(被序数)です.
なぜでしょう.

さっそくですが回答放棄です.「なぜ」なんて,理由は分かりません.
なのですが,「をかける」と「を割る」を学習指導要領で探すと,それらがどのように使われているかを知ることはできます.まずは「小学校学習指導要領解説 算数編」(《算数解説》)の2番目のPDFファイル(第3章以降)で,「をかける」を検索し,その前後7文字とともに出してみます.最後の数値はページ番号です.

□□□4に2位数をかける乗法の計算を例 88
うに同じ数どうしをかける計算は斜めに並 89
に1位数や2位数をかける乗法の計算の仕 106
に1位数や2位数をかける乗法の計算を指 106
。3位数に1位数をかける計算の指導に当 107
数の場合は,何十をかける計算と,1位数 107
る計算と,1位数をかける計算に基づいて 107
る。その際,何十をかける計算や1位数を 107
ける計算や1位数をかける計算に基づいて 107
,2位数に1位数をかける程度の乗法であ 108
え,それぞれに4をかけると「10が8」 109
乗法や分数に整数をかける乗法及び分数を 192

「を割る」は,たった1箇所です.

□□□なお,小数を割る計算の場面で, 167

「を割」にすると,もう一つヒットしますが,「…資料を割合を表す円グラフや…」(p.190)です.*2
「で割」を調べます.

の位の数が除数で割り切れる計算で 110
の「8個」を4で割ると答えは「1 110
れぞれ除数の3で割りきれる除法で 110
けても,同じ数で割っても商は変わ 137
2位数を1位数で割る計算を扱って 137
3位数を1位数で割る場合を取り上 137
である16を8で割って答えを求め 137
3位数を2位数で割る計算を指導す 137
けても,同じ数で割っても商は変わ 138
は,整数を整数で割って商が小数に 139
,「整数を整数で割って商が小数に 142
る。整数を整数で割ると,結果が整 142
合がある。整数で割り切れないとき 142
□□□整数を2で割ると,余りは0 163
か1になる。2で割ったときに余り 163
,出席番号を2で割って,割り切れ 163-164
除数の最小の位で割り切れないとき 167
その答えを10で割って,120× 169
は,商を小数まで割り進めても割り 171
それらの公約数で割って,分母の小 172
及び分数を整数で割る除法の考え方 193
けても,同じ数で割っても商は変わ 194

上のp.171の事例について,「小数まで」は,被序数・除数とは別物です.
昭和33年改訂の学習指導要領の算数(http://www.nier.go.jp/guideline/s33e/chap2-3.htm)でも,調べてみました.「をかけ」「で割」で探すとそれなりに出現しますが,「を割」は見当たらず,「にかけ」は,図形に関するものばかりです.
これらから,「xをかける」と言うときのxは,かける数(乗数)であり,除数に関しては「xで割る」であることを確認できました.そして1例だけでしたが,「yを割る」と言うときのyは,割られる数(被序数)です.それと「yに…をかける」というときのyも,かけられる数(被乗数)です.出現とその前後7文字を見て,じゅうぶんに推測できますが,その前後にときどき見られる式も,このことを補強しています.
そういえば,問題文に「合わせて」とあるからといって足し算の式になるとは限らないというのを,演算決定に関連して,書籍でよく目にします.Webだと,http://www.shinjuku.ed.jp/es-ichigaya/aa656ddb.pdfにあります.
「〜を」についても同様で,その1文節のみからは,「〜」を演算記号の左に書くべきか右に書くべきかを決められず,文脈や,用いられる演算から,「される数」なのか「する数」なのかを見極めないといけないのでしょう.


《倍指向》と《積指向》の新たな区別を,思いつきました.「aにbをかける」が《倍指向》,「aとbをかける」が《積指向》です.

*1:掛ける/懸ける(かける)の意味 - goo国語辞書 23 丸3

*2:かけるほうも,字数を削って「かけ」で検索すると,「かける数が1増えれば答えは3ずつ増える」(p.88)というのや,「かけても」「かけたり」が出現します.