3冊の本の紹介です.
こんな大学教授はいりません
- 作者: 鷲田小彌太
- 出版社/メーカー: 言視舎
- 発売日: 2012/02/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ともあれ大学人のあり方として,次の記述にはおおむね賛成.
大学は事業体である。ただしベルトコンベア式の工場ではない。いってみれば放し飼いの牧場である。広い敷地も大きな校舎も放し飼いのためにある。学生も教授も、程度の違いはあれ、一定の課業(タスク)を果たさなければならないとはいえ、フリー・ランナーである。餌(授業)も与えられるが、自分の頭と足で歩き回り、牧草や水は自分で飲む。教授と学生とを問わず、自学自習、自立自律が大学生活の基本中の基本である。
この基本中の基本がなくなった大学は、大学たる意味を失う。日本の過半の大学はすでにこの基本を失っている。大学側が、何から何まで学生を手取り足取りで教え込むシステムは変じつつある。大学の幼稚園化だ。
(p.22)
先達の背中を見て学び,学生には自分の背中,というよりはアウトプットを示し続けていくのが一番かなとも思う.
ビジネスマンのための「人物力」養成講座
ビジネスマンのための「人物力」養成講座 (ディスカヴァー携書)
- 作者: 小宮一慶
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2011/12/29
- メディア: 新書
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テレビでごいっしょする女優さんたちは、人一倍丹念にメイクしていますが、それは素の自分を隠しているわけではなく、プロとして、視聴者の型がそれを望んでいることを知っているからです。
(p.79)
これは,それが大事(大事MANブラザーズバンド)のサビ前の歌詞,「ここにあなたがいないのが // せつないのじゃなくて // ここにあなたがいないと思う事がせつない」に通じるような.
謙虚というのは、「アンテナは高く、腰は低く」ということです。腰を高くしていると、アンテナが低くなってしまって、情報が入ってこなくなります。腰を低くし、つねに情報をとらえられるよう、訓練しておく必要があります。
(p.129)
どんな姿勢をとればいいんだろう*1.ってまあ,もののたとえか.
大学キャリアセンターのぶっちゃけ話
大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動 (SB新書)
- 作者: 沢田健太
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2011/10/15
- メディア: 新書
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気になったところを抜き出す(原文通りでないことも).
- 一次面接の判断基準は、「現場の歳の近い社員が一緒に働きたいかどうか」(p.109)
- 東大生や京大生を採って配属、それで育たなかったら「現場が悪い」/下位校の大学生を採って外してしまった場合、現場から人事が責められる(p.137)
- キャリアセンターに学生用ではなく来客者用の入り口から平然と入ってきて…職員に書類のコピーを当然のごとく頼んで自分はお茶を飲んでいる学生…この層が就職活動の面接段階で非常に落とされやすく、内定なし、となりやすい。運よく内定が取れて入社しても、じきにもめごとを起こして辞めてしまいやすい(p.169)
- 指輪・ピアス・茶髪は、面接官の理解の範囲外として落選理由になる(p.172)
- 個別相談で,職員は学生を怒鳴りつけることはない.リストカットされたら大変だから(pp.177-178)
- インターンシップの半数以上はワン・デー・インターンシップ/大学はインターンシップの参加者数を、損害保険の加入件数でカウントしている(p.207)
まとめ
3冊の本に共通するものを,挙げてみるなら,「様々な主体」になりそうです.大学教員と大学生,アウトプットする人とインプットする人,就職活動中の学生と支援をするスタッフと採否を決める人,などなど.
それらの人々の間で,共有する知識や,とってよい行動が,異なるのはまあ当然となります.
学生時代に自習したことでいうと,信念の論理が関係しそうです.えっと…wikipedia:認識論理っていうのか.「AliceはBobを愛している」と,「「AliceはBobを愛している」とBobは信じている」と,「「「AliceはBobを愛している」とAliceは信じている」とBobは信じている」はみな違う命題だってやつです.
ONE MORE
「髪の毛の色がキミのすべてを表すわけではないが、仕事をするときにキミの個性を認めてくれる人もくれない人もいる。特定の人がOKで特定の人がNGというときに、不特定多数を相手に何かを提供する側の者としてどうなのかね?」
(『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動 (SB新書)』p.173)
*1:「背筋を伸ばす」には,頭のてっぺんをできるだけ高くすること,だっけ.