「うえの子ちゃん! 何してんのん?」
「…」
「ああこれな,ふにゃっとしたボールを,口に加えてるんやが…」
「そんなん口にしたらあかんで」
「せやねんな.んでさっき,パパが,ボールだけをビンタしてみたり…」
「…」
「持って,ぐるっと回したりして,取ってんけど,また口に加えよんねん」
「変な子やなあ」
「んで今度は,ビンタしてもひねっても,押しても引いても取られへんのやが…」
「取りたないねんな,この子は」
「そんなところやな」
「そうねえ…うえの子ちゃん,アイス,食べたい?」
「…」
「アイス,あるんやけど」
「…」
「ん? 口元がゆるんできたような」
「…おお,口が開いた.んでボールが落ちた」
「はい,賢い子やね」
「うーむ,北風と太陽みたいやな」
「何それ」
「いや,俺がやってきたことが,北風で,お前は太陽みたいな」
「あっ,それいいねえ.うえの子ちゃん,『北風と太陽』ってお話があってね…」
あらすじは,wikipedia:北風と太陽をご覧ください.
「わかった?」
「まま,あいすたべたい」
「じいっと聞いてたのは,アイスがほしかったからか!!」