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かけ算の順序を問う授業

ネット上でよく,ある種のかけ算の文章題に対して,「□×△だけが正解でいいのか」と問い,「いや,△×□も正解とすべきだ」とする主張を見かけます.
当ブログでは,ドリルやテストの出題のみならず,授業例や学習指導案も調査しながら,それらの式や主張の正当性・妥当性を検討してきました.
その結果,小学校では,かけられる数とかける数の意味そして区別を重視しており,そのもとで,一つのかけ算の式が正解となる授業や,□×△と△×□をともに認める授業があることが分かりました.
ともに認めているのは,次の2つのケースです.

  • 低学年であれば,アレイ(長方形配置)やデカルト積でモデル化される場合です.
  • 高学年では「基準にする大きさ×割合」(これは,低学年で学習する「一つ分の数×いくつ分」の拡張となっています)とは別に,数量の関係を表した式や,比を活用します.

また批判する人々の根拠によく見られる,交換法則を根拠として,あるいは交換法則を学習したら,□×△と△×□はどちらでもいいのだという主張に関して,それを裏付けるような授業例は,見つかりませんでした.
具体的に書くと,「一つ分の数×いくつ分」という言葉の式に乗法の交換法則を適用して「いくつ分×一つ分の数」を認めたり,「5×3個」と「3個×5」を比較したりするといったケースは,見当たりません.
かわりに,「5個×3」と「3個×5」とを比較して,場面は異なるけれど答え(総数)は同じとし,具体物をもとに乗法の交換法則の説明を試みるような授業を知る機会がありました.

そういった「かけ算の順序を問う授業」に関して,過去に取り上げてきた記事にリンクします.

参照した書籍などは以下のとおりです.

向山型算数授業法事典 小学2年

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誰もができる子どもに活用力をつけるワクワク授業づくり―第2回RISE授業実践セミナーの報告

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板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 小学校算数2年〈下〉

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算数科 授業づくりの基礎・基本

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「数学的に考える力」を育てる実践事例30

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授業に限定しない,「かけ算の順序」の事例については,以下の各記事をご覧ください.