「さきの子よぉ,暇かぁ?」
「なに,パパぁ?」
「寝間のベッドな,布団と枕が散らかってるから,きれいにしときたいんやが,手伝ってくれるか?」
「いいよ」
「なんで,寝間をきれいにしとかなあかんか,知ってるか?」
「なんで?」
「ひとつは,清潔感やな.今きれいにしといたら,寝るときすぐに寝間に入れるやろ.しとかんかってな,寝るときに,ここ濡れてる〜とかあったら,嫌やん」
」
「そんなん,いや!」
「あともうひとつ,理由があってやな.布団の中に入り込んだ小物とか,おもちゃとかがないか,チェックしときたいねん」
「あ! おもいだした!」
「ん? 何か,布団の中に入れてたんか」
「うえのこおねえちゃんが,ふとんに,ハートのダイヤを,いれててん!!」
「ほぉ,それは見つけとかんとな…ん? 待てまて,ハートのダイヤ!?」
「そうやで!」
「いやあのなあ.ハートもダイヤも,形やんか.ハートは,こう(指で♡を描く)で,ダイヤは,こう(♢を描く)」
「ハートの,ダイヤやねん!」
「あそうか,ハートの形をした,ダイヤやなくて,ガラス玉やな?」
「ガラスだまやないの! ダイヤなの!!」
「そこまで言うか.おかげさんで寝間はきれいにできて,そのハートのダイヤとやらは,あいにく見つからんかったが,うえの子お姉ちゃんに聞いてみよか?」
「うん!!」
うえの子に尋ねても,「ハートのダイヤ」でした.
妻に,指で形状を描いたことまで含めて経緯を話すと,「子どもらが分かったら,それでええんやないの」でした.