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正方形から長方形

いきなりですが問題です.

正方形を以下のように切断し,直角三角形2つと四角形1つを作ります.

これを並べ替えて,(正方形でない)長方形を作ってください.

元ネタは,以下より読める学習指導案です.

授業としては,与えられた3つの図形を組み合わせると,正方形が作れたり,長方形が作れたり,正方形でも長方形でもない四角形が作れたりできる,となっています.wikipedia:タングラムの簡略版にも見えます.
といったところで解答です.以下のように組み合わせれば,長方形ができます.

大人モードで,長方形であることを確認するにあたり,まず正方形の3つの切断によってできる角の大きさを整理します.最も小さい角度をaとし,2番目に小さい角度をbとすると,a+b=90°となります.正方形の左上で作られる三角形も,下の三角形も,角度はa,b,90°で構成される直角三角形です.またオレンジ色の四角形について,90°より小さい角度はbであり,2つは直角ですので,あと1つ(正方形の上辺のところにできる角)の大きさをcとしたとき,b+c=180°です.
長方形を見てみますと,右上と右下の角は直角です.左下も左上も,a+bなので直角です.「四つの角が直角である四角形なので,長方形です」…と言う前に,四角形であることも,確かめておきましょう.長方形の右側の辺で,四角形と三角形の角が重なるところは,角度を足すとb+c,これは180°なので直線をなします.なので,四角形と言ってかまいませんね.なお,内部で3つの図形が重なるところの角は,直角が2つと直線ですので合わせて360°となり,ここでも問題は生じません.
ここまでについて,正方形の切断の仕方によらず,長方形が作られるのは注目に値します.この切断は,上辺のどこの点を選ぶかによって決まります.右下の頂点から左上方向に伸びる線分は,下部の三角形が直角三角形であるという要請により,一意に定まります.右下の頂点を通り,斜めに引いた線と直角に交わるような直線の作図は,中学1年の学習となります.
この長方形の縦と横の長さは,中学3年の数学の知識,具体的には相似と三平方の定理があれば,求められます.正方形の1辺の長さを1とし,正方形の左上の三角形について,最も短い辺の長さをx(0<x<1)とすると,並べ替えて作られる長方形の長辺の長さは\sqrt{x^2+1},短辺の長さは\frac1{\sqrt{x^2+1}}となります.冒頭の図形はx=0.5でして,長辺と短辺の長さはそれぞれおよそ1.1と0.9です.なお,x=0とすると2つの三角形が得られません.またx=1のとき,オレンジの領域は三角形になります(ただしこの場合にも,並べ替えて長方形は作れます).
GIFアニメーションを作ってみました.