いきなりですが問題です.
横の長さがa,縦の長さがbの長方形があります.
縦に線を5本引いて,同じ面積の長方形に分割します.
どのように線を引けばよいでしょうか.
具体的には,こうです.
引くための地点について,2次元座標系で (a,0)と(a,b), (a,0)と(a,b), ...を結ぶのではいけません.もしそうすると,最後の線分は(a,0)と(a,b)となり,長方形の辺と重なってしまいます.
図にしたとおり,5本の線を引いて,6つの,合同な長方形に分割するのですから, (a,0)と(a,b), (a,0)と(a,b), ..., (a,0)と(a,b)を結ぶ必要があります.
「(a,0)と(a,b),ただしk=1, 2, ..., 5」と書けば,簡潔にまとまります.
元ネタは学部の1年生を対象としたプログラミング授業です.キャンバスすなわち描画領域の幅と高さは,JavaScriptであらかじめ指定しており,本数は5本ではないのですが,幅÷(本数+1)をあらかじめ計算しておいて,forループで直線描画の処理を記述するのが,模範解答となります.
続きまして問題です.
横の長さがa,縦の長さがbの長方形があります.
対角線の1つを引き,その線と平行になるよう4本の線を引いて,全部で5本の線により,同じ面積の三角形または四角形に分割します.
どのように線を引けばよいでしょうか.定規とコンパスを使って,求める方法を答えなさい.
具体的には,こうです.
定規とコンパスは後回しにして,5本の分割線を次のように定めます.まず長方形ABCD(AD=BC=aおよびAB=DC=b)について,AとCを結びます.これが1本目の分割線です.
辺DA上に,DE=aを満たす点Eを,辺DC上に,DF=bを満たす点Fを,それぞれとり,EとFを結びます.これが2本目の分割線です.三角形DACと三角形DEFは相似(2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい)ですので,∠DAC=∠DEFとなり,同位角が等しいことから,AC‖EFと言えます.相似比が1:なので,面積比は1:となり,△XYZで,三角形XYZの面積を表すことにすると,△DEF=△DACです.
辺DA上に,DG=aを満たす点Gを,辺DC上に,DH=bを満たす点Hを,それぞれとり,GとHを結びます.これが3本目の分割線です.三角形DACと三角形DGHも相似であり,∠DAC=∠DGHよりAC‖GHです.相似比が1:で面積比は1:ですので,△DGH=△DACです.四角形GHFEの面積はそこから△DEFを取り除けばよく,△DAC−△DAC=△DACです.四角形ACHGの面積も,△DACと等しくなります.
2本目の分割線(あるいは2点E,F)について,長方形の中心(2本の対角線の交点)と対称の位置になるように線(あるいは2点)を定めると,4本目の分割線が引けます.5本目も,3本目の分割線をもとにして同様に定めます.5本の線の引き方は,以上です.
定規とコンパスを用いた,点各の求め方ですが,点Eについては次のようにします.
まず,三角形ADXが正三角形となるような点Xは(コンパスでADの長さを測りとって,点Aおよび点Dを中心とする円を描き,その交点を求めることで)2つ存在しますが,そのうち直線BCに近い方を,点Iと定めます.半直線CDと,点Aを通るAIの垂線との交点を,点Jとします.このとき,三角形ADJは正三角形の半分の形となります(トライアングル3分割の三角形BAHと同様の作図をします).この直角三角形の辺の長さの比はDJ:AJ:AD=1:2:ですので,DJ=DA=aなのが分かります.このDJをコンパスで測りとり,Dを中心として円を描いたとき,線分ADとの交点が点Eです.
点Gは,DG=DEとなることを使用します.一辺の長さがDEと等しい正方形の対角線…はというと,EJが該当しますので,これをコンパスで測りとって,Dを中心として以下同文でいいでしょう.