わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

120人!

いきなりですが問題です.

"exhaustive search"の同義語・類義語を,できるだけ多く答えてください.
日本語・英語を問いません.

金曜日の午後一番の授業(ネットワークセキュリティ)です.授業スライドと別に,「はじめのテスト」と「まとめテスト」をPowerPointファイルにして,いつものプレゼン用具一式をカバンに詰め込み,講義室に入りました.
開始数分前にもかかわらず,座席を埋め尽くしている状況に驚きました.4人横並びの座席は,両端の2人だけでなく,中の1席分にも,誰かが座っているのが,当たり前だったのです.
配付資料は昨年度より少し多めの90部*1,小テストの解答用紙は100部しか,持って来ていません.足りないのが,目に見えています.
授業を終えて自室に戻り,答案枚数を数えてみると,こちらの用紙に解答したのは95名,ルーズリーフなどに書いて提出してくれたのは25名,合わせて120名となりました.
一人ひとりに,向き合えるでしょうか…


話を戻して,解答です.
「次回以降も,授業のはじめに,授業内容と関連するような小テストを解いてもらう予定です.
さて,"exhaustive search(イグゾースティブ・サーチ)"の同義語・類義語ですが,まず日本語に訳すなら,『全探索』といいます.対象をすべて,検索することです.数学では『全数探索』とも呼ばれます.なお,searchの訳語は『検索』が一般的ですが,前につく言葉によって『探索』とするのが良い場合もあります.exhaustiveという単語を直訳するなら『徹底的な』です.
なのですが,セキュリティの分野では,"brute-force attack(ブルート・フォース・アタック)"という言葉のほうがよく使われます.forceに『力』という意味もあり,"brute-force attack"は『力づくの攻撃』という訳し方もできます.とはいえこの言葉は,『総当たり法』または『総当たり攻撃』と呼ばれることが多いです.
認証のためのパスワードを見つける,暗号文を持っていてその鍵をコンピュータで求める,といったときに,すべての候補を試して,当たりが出るまで行う,というのが,brute-force attack,総当たり攻撃の行動となります.ということで,exhaustive searchや全探索との同義語になるわけです.
ここまでは同義語です.少し手を広げて,類義語として何があるかを,答えてみますと,コンピュータ分野の俗語として『なめる』というがあります.漢字で書くなら『舐める』です.関西人なら『ナメとんのかワレぇ』のような脅し文句(あるいは気軽なツッコミフレーズ)を聞いたことがあると思いますし,ポケモン世代なら『したでなめる』という技のほうが,なじみかもしれません.
ベロは使いませんが,対象を先頭から順に見ていくことを,『なめる』と言います.これは全探索の類義語と見なせます.英単語は"scan"です.先ほど,俗語と言いましたが,ある辞書によると,『なめる』の意味の一つとして『くまなく及ぶ』と書かれていまして,用例には『火は商店街をなめつくした』とあります.
また別の類義語に,話を切り替えます.『素朴な方法』あるいは『単純な方法』と日本語で言い,英語にすると"naive method"です.simpleでは,ありません.やっていることが単純で,かつスマートなら,simpleでかまいません.やっていることは単純だけれど,どう見ても鈍くさい方法で,ちょっと手を加えれば,同じ問題,セキュリティならパスワードクラックや解読などを,より短時間で解くことができるだろうってときに,naive(素朴)という言葉が好んで使われます.
…と,こちらで用意した解答を,振り返りますと,日本語だと『全(数)探索』『総当たり法/攻撃』『なめる』『素朴/単純な方法』,英語では"brute-force attack","scan","naive method"となります.みなさんの解答の中に,きっとこちらで考えてもいなかった,面白い言葉があると思いますので,持ち帰って,学生番号順に答案を整理してから,じっくり読ませてもらいますね」

*1:2年前までは,学科の3年生が大部分だったので,65部ほどで足りていました.昨年度(の3年次)からメジャー制に切り替わりまして,他メジャーのからの受講もあって70人台となり,そのときでさえも驚いたものです.