昨夕.
「ただいま~」
「あ,パパ,ちょっとこっちに来て,フライドポテト揚げるの,見てくれる?」
「いや手ぇぐらい洗わせてくれるか」
「台所の水を使って! 急いで!!」
「へいへい…」
「トレイに引き上げたら,次は,盛り付けね」
「ほ~い.テーブルの上の,8枚の皿にやな」
「頼んだで」
「ふむ.ま,子どもの皿にはポテトを多めにするか…」
「あ,パパ,それやりた~い」
「さきの子か.ほな,うまいこと盛り付けてくれるか」
「まかせてや!」
「今のうちに,荷物を置いて,スマートフォンとタブレットを充電させてもらうか.ずっとリュックを背負ったままで料理っちゅうのは変やったぞ…」
「さきの子よ,順調か?」
「うん,あと一人,おばあちゃんのおさらだけ!」
「そっか…」
「(ん? おばあちゃんのところに,残りを乗せるとして…)」
「(パパのお皿にスライドポテトなしって,どういうこっちゃ!?)」
「はい,できあがりっと.パパ,このトレイ,どうするの?」
「トレイと菜箸は,流しに入れといたらええ,と言いたいところやが…」
「パパ,どうしたの?」
「えっとやな,テーブルぜぇんぶ,よぉ見てみな.とくにポテトな」
「えっ……あっ,パパのおさらにない! なんでないの!?」
「なんでって,さきの子よ,お前が置き忘れてたからやないか」
「パパも…ポテト,ほしい?」
「そらほしいよ」
「じゃああたしのあげる」
「いや丸ごとやなくて,多いめのところから,1~2本ずつ,パパのほうにやるんや,こういうときは」
「パパ,ダイエット中やから1本だけね~」
「こらこら勝手すぎるぞ」