「ほな,大皿の,枝豆もらおか」
「食べてや.おばあちゃんが取ってきたんやって」
「ふむ.(時計を見て)8時前かぁ.子どもらは,とっくに晩ごはん,食べたんよな」
「(隣室から)そうやで!」
「今のは,さきの子やな」
「パパは,ビールと一緒っちゅうでなければ,枝豆は最後,デザート感覚で,つまんで食べるんやが…」
「(口に入れてサヤだけ取り出し)ちっさめのこいつには,十分なの1粒,入ってたな」
「次に,これは(口に入れてすぐに取り出し)…あれ? 膨らんでるように見えて,実ぃ,ないがな」
「しゃあないな.こっちは…おいおいないぞ」
一つ,また一つと手にしても,口に入れるまでもなく,実の入った枝豆が,見当たりません.
そして大皿の最後のサヤまで,ないのを確認したあと…
「枝豆,食たんは,さきの子か?」
「(隣室から)そうやで!」
「そうやでやないがな.あのな,食べたあとのカラのサヤを,大皿に戻したらあかんねんで」