某年月日,子らの中で一番の早起きは,すえの子でした.
聞いてみると,「これ,あさになったらたべていいって,ママがいってたから」と,赤福の折箱を指さしました.
早朝の散歩,そしてひと仕事をしてから,朝食です.食卓につくと,テーブルの上の折箱に,赤福は残り1個になっていました.
「パパのやで!」
「ん? さきの子よ,最後の1個はパパのんか」
「はよ食べてや!」
「んん…急かされとるなあ.けど甘いのんは,ご飯とかおかずとかを,食べてからやな」
そうこうしてご飯とおかずを食べ終え,赤福を,折箱に付属の木ベラですくって口に入れ,ごちそうさまと言いました.
なのですが,箱の中には,赤福の餡がついています.
木ベラで軽く,ごしごしと…
「こういう,ついたのって,好きな人もたまにおるんやよな…」
「さきの子よ…じいっと,パパのほうを見とるが,これ,ほしいんか」
「ほしい!!」
「はいどうぞ.木ベラに取れるだけ取ったからな…」
「(無言で折箱をひったくる)」
「おい,箱のほうがほしいんかいな.乱暴やなあ」
「それも!!(木ベラもひったくる)」
「ほいでもって木ベラもか.まだまだ餡を取り出したいんか.がんばれ」