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平成28年度スポーツ庁委託事業から

 組体操関連の報告は,7.神戸会場の23ページ(ノンブルではなくPDFファイルでのページ位置です.以下同じ)以降と,体育的行事における事故防止事例集の10ページ以降から読むことができます.発表・執筆者はどちらも,日本体育大学教授の三宅良輔氏です.
 平成28年度(2016年度)の年度末の時点で,クイックピラミッドに言及がある(事例集19ページ)ことに,驚きました.なお,個別の技に関して,個人的に3段タワーは中学生でも推奨できるものではないと思っています.それとトラストフォール(人間起こし)への言及がありませんでした.
 2~3年前に取りまとめられたものであるのに注意しながら,今後も小中高の運動会などで組体操が実施されていくことに関して,気になったのは,「体育の授業で取り扱わずに、特別活動の体育的行事として扱われる組立体操を、これまでどのくらいの先生らが研修を受けていたのだろうか。」(神戸会場23ページ)や,「組体操の指導に関する研修会は行われているのか。」(事例集11ページ)の文です.
 医療費給付の件数よりも,組体操・組立体操に関する研修の実施状況について,どこかで整理されていればと思いました.
 組体操の出版をもとに,埼玉県組体操協会関西体育授業研究会を見てみると,前者は大きな文字で講習会・研修会の予告を知ることができ,後者はサイドメニューに組体操の文字が入っていました.
 研修の実施に関しては,三宅氏が携わった件(例えば,見直される組み体操 | 子ども・子育て | NHK生活情報ブログ:NHK)も含めるべきでしょう.
 といったわけで,今後の予定もさることながら,これまでの実施事例や参加者数,研修テーマ,そして指導者の情報を,表形式にして検索しやすい形にしてあるといいなと,思ったのでした.
 そう思ったものの,研修会を開催する方々や,参加した先生方には,研修会の実施や参加の実績というのは,必ずしもメリットとはならないことにも気づきました.いろいろな形での,批判が想定できます.参加し学んで,それを学校に持ち帰って,組体操の指導をしているときに,事故が発生したら,「研修で何をしてきたのだ」と,管理職から叱責されかねません.
 そもそも当ブログでの,組体操に関する情報整理や思案が,実際の組体操・組立体操に携わる先生方の目に留まることは,期待できません.「クイックピラミッド」「サボテン」のページに毎日,アクセスがあるのは,ログを通じて把握していますが,組体操の成功に向けて企画や指導をする先生からなのか,負傷の実情を把握し危険性を訴え続ける側の人なのかは,知ることができません.
 今後も,個人的な関心として,新旧を問わず1件1件読み,はてブし(組体操に関するtakehikomのブックマーク),ときにはブログ記事として,取り上げていくことにします.


 組体操の枠を超え,子どもが行う運動や遊びにおけるリスク(大人のリスク認知)に関して,Q&Aの一つが興味深かったので,抜き出しておきます.Ⅲ セミナー参加者との質疑応答の8ページです.

Q26 前任校の話だが、遊具でのけがが絶えず、全面禁止にしてけががなくなった。子供の運動能力や体力向上を考えたときに、その判断でよかったのかの答えがないため、先生方の考えをお聞きしたい。
(回答)

  • 組体操の例でもありましたが、鹿児島県では禁止はしていません。遊具でどういった時にケガが起きるのか子供自身に考えさせる必要があります。
  • やめるというのは簡単です。東京のある市の公園にターザンロープの手に持つロープが細くなっていたので、換えたらどうか公園課に連絡したところ、3ヶ月後にはターザンロープが無くなっており、非常にがっかりしました。個々に検討するべきであり、一列になくすというのは絶対に反対です。
  • 例えば自転車で、小さい時に乗れれば一生乗ることができるようになりますが、小さい時に経験しなければ一生身につかないまま終わってしまうリスクがあります。体を動かす機会も減っているので、体の機能を成長期に獲得する方法を考えながら、安全性を確保する必要があります。飛び込みの禁止については、学校で飛び込みを指導するのはリスクが大きいです。下からスタートして競技を行い、水泳専門の競技の場合はきちんとした場所で指導を受けるべきです。
  • JSCでも遊具の事故調査を行いました。ブランコ・すべり台のどこでけがをするのか等の調査を行いましたが、地面に落ちてのケガが多かったです。地面にマットを敷く等の対策もできます。事故防止対策を多面的に分析して把握をし、対策することが重要であり、危険だから禁止というのは教育としても非常によくないのではないでしょうか。