「パパ~,降りて来て~」
というママの声.時刻は夕方6時半(休日です).晩ごはんかなと思いながら,降りてみると,仕事を言い渡されました.
洗濯機の前です.乾燥までできる機械なのですが,今回,量が多いために脱水までにしています.
大きなビニル袋に入れて,近所のコインランドリーまで持って行き,乾燥機に投入する,という仕事を託されました.
一人でも一応できるが,手の空いている子,誰かおらんかと尋ねると,さきの子がやって来ました.「手つだうよ!」と,声は元気です.
袋に入れる際に,洗濯物を一つ一つ分けるというのも重要とママから言われ,その作業をパパが担当し,ビニル袋を大きく開けて,乾燥機へ持って行くものを確実に入れていくのを,さきの子が受け持つこととなりました.
初めのうちは順調でした.受け渡しのミスで,靴下が袋に入りきらなかったときも,さきの子が,きちんと入れ直しをしてくれます.
異変が起こったのは,電話が鳴ってからです.「あっちのおばあちゃん(実家の母)からかな」とパパがつぶやいたのも,失敗でした.
さきの子は,袋から手を離し,電話機のほうへ,行ってしまったのです.
実際にかけてきたのは,あっちのおばあちゃんでした.子らは交代しながら,声を高くして近況報告しています.こちらは,洗濯物を手づかみで取り出し,1点1点確認しながら,袋の中へ入れていきました.
さきの子が戻ってきました.コードレスの受話器を持っています.「パパ,あっちのおばあちゃんと!」とのことで,受け取り,近々,子らが実家へ行くにあたっての情報の確認をしました.
用件が終わり,あとの子に受話器を渡すと,洗濯機の前に,さきの子がいて,パパは大きなビニル袋のそばです.
開始のときから,立ち位置が反対になっていました.
「パパ,いくで」
「ちゃんと入れてや!」
さきの子は,指示をするのに快感を覚えているかのようです.
袋から漏れ出ないよう,また袋を破ることもないよう,気をつかいながら,なんとか1つの袋に,すべての洗濯物を入れました.
車の鍵をもらい,コインランドリーの乾燥機へ.いったん帰宅して夕食をとり,パパとママと,さきの子とあとの子が車に乗り込んで,コインランドリーへ行くと,いい感じに衣類は乾いていました.