わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

海苔をあげないと,座らせてもらえない

 「パパ~晩ごはんよ~」の妻の声で,食卓へ行きました.
 ふだん自分の座るイスは,テーブルに入っていて,引くことができません.そこに,うえの子が立っていました.そして,「ママ! のり!」を連呼していました.
 うえの子が,海苔をせがむことはめったにありません.自分で見つけて,ほしい分を取り,パックを元に戻すからです.

 今回ほしがるのは,そのパックを見つけていないのでしょう.自分が朝食べて戻した場所から,パックを取りだし,「うえの子よ,5枚でええか?」と尋ねました.
 妻からの「多すぎ!」の意見と,うえの子の「やった~」の反応が,ほぼ同時でした.5切れを取り出して渡し,イスの前から退散してもらいました.
 パックの口を閉じようとしたときに,すでに着席しているすえの子から「あたしも~」の声があり,「ほな3枚な」と言って3切れを渡しました.さきの子とあとの子からは反応がなく,口を閉じたパックをしまいました.
 手を合わせて,いただきますを言い,ご飯を一口,おかずを一口,とやっていると,すえの子が声をあげました.
 「いちまい,ない」と言うのです.「なんで,ないんや?」と,すえの子に尋ねると,「あたしが食べた」と答えたのは,すえの子の隣の席の,あとの子でした.
 その発想はなかった…
 夕食時に3切れ食べられると安心しきったすえの子と,妹が食べるのならあたしもというあとの子の間で,ケンカさせるわけにもいかないので,海苔のパックをまた手にしました.
 さきの子がそれを持ち,あとの子・すえの子とともに食卓を離れていきました.話し合いの結果,あとの子もすえの子も,3切れずつ食べるよう,不足分が配られました.さきの子は,仲裁役であり,自身は望みませんでした.
 いくらか減って,口の閉まっていないパックが,戻ってきました.
 ピリピリっと音を立てて口を閉じたあと,「何やねんこれ」の独り言に対して,「まあ本人らがそれでええって言うんなら,ええんとちゃう」と言ったのは,テーブルの向こうの妻でした.