日曜日:
「ん? 封筒? 油性ペンで書いて,切手は,まだってか…」
「それね,友達に送るんやけど」
「すえの子かいな.(封筒の反対側を見て)ああ,送り主に,書いとるな」
「ふつうのふうとうで,送れるでしょ?」
「送れるけど…ちょっと厚みがあるなあ.何,入れてんの?」
「ぎりチョコ」
「ほお,義理と言うたか…『一目で義理とわかるチョコ』やな」
「そう,それそれ!」
「クラスの子ぉか?」
「そうやねん.学校に(チョコを),持ってったらあかんからね」
「へぇ.ところで宛名のとこやけど…」
「女の子の友達やで! ペンで書いたから,消えやんと思うねんけど…」
「女の子から女の子に贈るのも,ええとおもうよ.気になってんけどな…和歌山県和歌山市のあと,町名を書かんと丁番って,おかしいやろ」
「え? (封筒を手に取って)ほんまや! 書きわすれてる!!」
「封筒,取り替えるか? それとも作文なんかでよくやる,『く』を伸ばした記号を書いて,付け加えるか?」
火曜日(バレンタインデー):
「ただいま…」
「おかえりぃ」
「パパ,おかえり!」
「おかえり!」
「今日わやな…クラフトボスのいちごオレっちゅうのを,買うて帰ったんやが」
「えーなになに,おいしそう!」
「飲んでいい?」
「ええけど,わけわけやで」
「じゃあ,ママ,いちばんね.このコップに,3分の1,入れるよ…」
「ところで,ママと,あとの子と,すえの子やねんな,いま部屋におんの」
「そうやで」
「さきの子は?」
「ねてる.3等分でええよ」
「ええよって…」
「ねてるさきの子が,悪いねんから」
「いや,悪くはないやろ,分け前がないだけの話や」
「パパも,飲みたいの?」
「あ,パパはいらんよ.大売り出ししてて,2本買うて,1本は飲んで,帰ったから」
「パパだけ1本,いーなー」
「ママ,これ(ペットボトルを手に取って),すえの子と分けたらええんよな?」
「そうやで」
「やったぁ,いただきま~す.….あま~い!!」
「喜んでくれて何より」