わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

論文指導(2020.01その2)

どちらかというと学生に依存しない指示

  • 全体的に文章が詰まった感じを受けました.本文フォントが「MS P明朝」になっていると思います.Pの付かない「MS 明朝」に変更してください.
  • 目次は,「章見出し」「節見出し」「項見出し」のそれぞれについて,開始位置を揃えてください.
  • 図目次・表目次について,番号と見出しの間が半角コロンというのは,少し読みにくいです.全角コロン,または全角空白に替えてください.
  • 本文の節や項の見出し行について,前後の空行は,以下の方針としてください.
    • 新たな節になる箇所では,節見出しの直前に,空行を1行だけ入れる.
    • 「章番号.1」節*1と,項では,見出し行の直前に空行を入れない.
    • 節および項の見出し行の直後には,空行を入れない.
  • 1.1節(研究背景)には,「本研究の目的」は書かないようにしましょう.動機なら,書いて差し支えありませんが,「本研究の動機は」から始まる文も,よいものとは言えません.
  • 1.4節(本論文の構成)で,文が「述べる.」ばかりなのはよくありません.代わりの有用な末尾表現には「説明する」「~する」「~とする」があります.「第3章では~,第4章では~について述べる」のように,文を連結することでも,動詞の数を減らせます.
  • 謝辞で「深く感謝し,厚く御礼を申し上げます.」という文はよくありません.「深く感謝したい人の名前を挙げ,「深く感謝します.また,」と書いて文を切り,「厚く御礼を申し上げます.」でまとめるといいでしょう.
  • 参考文献の各項目の最後(カッコ書きによる出版年,Webページの参照年月日)のカッコ閉じの直後に,半角ピリオドを付けてください.
  • 図を本文の中(段落のあいだ)に配置する場合,本文で「図●」と書いた段落の直後としましょう.
  • 図と図見出しのあいだで改ページにならないよう,最終版では注意してください.表見出しと表についても同様です.
  • 図見出しは本文の1行として記載し,Excelで作成して貼り付けたと思われる,グラフの上部の見出しは,取り除いてください.
  • 通信の流れを示した図で,左右方向の矢印とその説明は,中央で整列させてください.
  • 「画面」に「(の)例」を続けるか否かは,次の方針にしてください.
    • 節見出しは「画面例」としましょう.
    • その中の各項の見出しは「~画面」とし「例」も「の例」も付けないでください.
    • スクリーンショットによる図については,実行のたびに変わり得るという観点から,図見出しは「~画面の例」としてください.
  • 「解答」と「回答」を正しく使いましょう.テストの答えで,正誤判定できるものは「解答」なのに対し,アンケートの答えで,正誤判定できないものは「回答」です.
  • 「の要件」「対応する」「着目する」といった言葉を効果的に使用してください.

どちらかというと個別の内容に対する指示

  • 新たに開発したインタフェースについて,従来のものとどの点で類似しており,何を新しく取り入れたかが,明確になるよう,概要や,1.3節(研究成果)で明記してください.
  • 「~ようになることを目指す」では,何をしたいかが伝わりにくいです.「~ようなシステムの提供を目指す」にしてみましょう.
  • 2.1節(研究対象の説明)では,研究対象の定義だけではなく,日常使用されている例(名称)を挙げましょう.「選択式問題」の例として,大学入試センター試験は不可欠です.
  • 2.1節で,その研究対象が定義された文献を引用してください.
  • 関連研究の節で,同一グループによる複数の文献を取り上げる際,先に出版されたものが,あとの番号になる(本文でも後ろで取り上げられている)のは不自然です.出版順に書き直してください.
  • 写経型学習は必ずしもeラーニングではないことを,言及してください.例えば,本を見てプログラムを打ち込んでいき,どれを打ち込んだかを本に記録するのは,写経型学習ですが,eラーニングには当たりません.
  • jQueryはジョン・レシグが2006年にリリースした」と書いたら,この研究では2006年にリリースしたバージョンを使用しているのかと誤解される可能性があります.「jQueryの最初のバージョンはジョン・レシグが2006年にリリースした」としましょう.
  • 開発方針の節を,少し充実させましょう.最後の段落が1文(2行)だけですが,そこに「具体的には,」から始めて,配慮したことを1つか2つ,説明してみてください.
  • このWebアプリケーションはクッキーを使用していますので,どんな情報をクッキーに保持しているかを明記し,どこで格納しどこで参照しているかについても,画面遷移図を置いたあとの段落で書いておきましょう.
  • 何をすることでページを遷移するかが明確になるよう,「●●のボタンを押すと」といった表記を使用してください.
  • 従来手法を適用すると,どのような結果になり,それがどのような理由で間違っているのかを示してから,「本研究では,」と進めていきましょう.
  • 評価実験が大きく2つに分かれるなら,評価の章の最初の節は,2つの実験の概要(評価目的・実施時期など)を書きましょう.
  • 利用者数や,データベースに記録された登録数(解答数)は,評価結果のところで明記しましょう.1日(1回の授業だけ)なら,本文中で書くのでかまいませんが,複数回の実施なら,表にしてください.
  • 系図は1つ1つが作品という観点から,系図名を書く際には,前後に二重カギカッコを付けてください.資料内の記載を示す場合には,通常のカギカッコを使用しましょう.
  • 具体的に行った処理について,作成したプログラムから該当するコードを取り出す(1行から数行まで)ことができるなら,本文中に箱で囲って図表番号を書かず,示すとよいと思います.
  • 処理によりある条件を満たす情報を見つけるのを表すには,原稿で使用している「摘出」のほか,「検出」「抽出」といった言葉もあります.ここでは「検出」で統一しましょう.

*1:今年度に読んだ原稿では見かけませんでしたが,章のはじめに地の文があって,それから「章番号.1」節となる場合には,直前に空行があるほうがよいようにも思います.