いきなりですが問題です.次の文字列を,あるルールで並べ替えて,「★」を除いて意味のある語句にしたとき,「★」は先頭から何文字目になるでしょうか.
和の在和歌県★歌山庁地山県所は市
さっそくですが解答です.与えられた文字列について,4文字ごとに改行を入れます.
和の在和 歌県★歌 山庁地山 県所は市
左から,縦読みができます.「和歌山県の県庁所在★地は和歌山市」と読むことができます.「★」は,先頭から10文字目です.
持ち回り授業を担当しました.受講者は3人です.10時半開始,16時終了で,90分授業3コマ分となります.「情報セキュリティのこれまでとこれから」と題して,学部3年生向け授業からエッセンスを取り出し,楕円曲線暗号や量子鍵配送は新たにスライドを作りました.
成績評価の方法も,授業担当者に任されていたので,3コマ分のうち最初と最後は,授業の内容に基づく調査課題とし,2番目に,シーザー暗号・スキュタレー・RSAの暗号解読問題を入れました.
上記の「並べ替え」は,スキュタレーの解読です.以下のページの「スキュタレーで暗号化」の平文に「和歌山県の県庁所在★地は和歌山市」を貼り付けて,暗号化ボタンを押すと,暗号文を得ることができます.
改行を入れるという解読方法は,wikipedia:スキュタレーに載っています.
授業では,「和の在和歌県★歌山庁地山県所は市」という暗号文に対し,3つの反応が想定されることも,合わせて伝えました.
- 「和歌山県」について書かれているらしいが,全体として何が書かれているか読み取れない.★の意味も分からない.
- ★を無視して並べ替えれば「和歌山県の県庁所在地は和歌山市」と読める.★の意図を読み取れない.
- ★を考慮して並べ替えると「和歌山県の県庁所在★地は和歌山市」となり,★の位置の「10」という値を受け取る.
2番目と3番目の違いを,言い換えると,次のようになります.復号や解読という観点では,「和の在和歌県★歌山庁地山県所は市」をインプットとしたとき,アウトプットは「和歌山県の県庁所在★地は和歌山市」です.そうではなく,「和の在和歌県★歌山庁地山県所は市」という暗号文について本当に送りたいのは,「10」という数値であった,ということです.