いきなりですが問題です.次の文章を,1枚のスライドで表現してください.
本システムの有用性を検証するため,学生4名を2つのグループに分け,各学生には「拡張子」「PNG」「ソケット」「レジストラ」「レジストリ」という5つの正解語に対して,本システムを用いて,多肢選択式問題を作成してもらい,結果を分析しました.
グループは,単に本システムを使用して問題を作成したのが2名で,あらかじめ用意した問題を閲覧したあとに,本システムを使用して問題を作成したのが2名です.
解答の前に元ネタです.先週土曜日の研究会で,研究室の4年生に発表してもらったスライドです.「本システム」は,昨年5月に学会発表(https://doi.org/10.2964/jsik_2020_026)したものを改良しています.元のシステムも本システムも,ブラウザ上で動作します.ユーザが最初に正解語を入力して,ボタンを押すと,(クライアントサイドでのJavaScript実行により)DBpediaにアクセスし,問題文と誤選択肢の素案が画面に表示されます.ユーザは編集・取捨選択して,問題文・正解語・誤選択肢で構成された「多肢選択式問題」を完成させる,というものです.「多肢選択式問題」は,以下では「問題」と略記します.
別の背景については後回しにして,研究会では,おおむね上記の文章がスライドで箇条書きになっていました.ただし実際の発表内容から,5つの正解語は変更しています.
こういうスライドは,図解したいところです.スライドに書いていないけれど大事な情報は,「4人に,5つの正解語で,20個の問題を作って(データベースに記録して)分析する」ということです.4×5=20ですが,よく見ると「4」と「5」と「20」の数量の種類が違います.4は人数,5は正解語(お題)の数,そして20は作成する問題(結果)の数です.ということで数学の直積で表現するのが,よさそうに思えてきます.
wikipedia:直積集合を見ると,分かりやすい図がありました.
これをもとに,図解を試みました.
ところで,図解は,whatやhowを表すにはよいのですが,whyを表すのには有用とはいえません.上に書いたうち「本システムの有用性を検証するため」がwhyに該当し,これは単純に,スライドの箇条書きにしました.「データベースに格納」「結果を分析」は,円柱その他のオブジェクトを配置して,図に入れることもできますが,スライドとしてはそういったことは重要でないので,文字で表しました.「4人に5問ずつ」は,図を見ても分かりますが,重要な数値情報なので,文字にもしておきます.
ここでもう少し,ネタばらしです.昨日,卒業研究発表試問会がありました.ということで研究会発表をした学生は,スライドを手直しして,卒業のための大事な,質疑込み15分に臨んだのですが,発表時間に合わせて枚数を減らすほかに,評価実験のスライドの図解を指示したところ,5行6列の表を配置しました.左上のセルには,「/」の斜線を引いていたので,これを「\」の変更してから,そのセルの左下に「参加者」,右上に「正解語」を,フォントは小さくなってもいいから書くよう,伝えました.結局のところ上の図解は,本記事のために作成したのでした.
もう一つ,1年前の記事も,元ネタになっています.
15. 数量をかけ算の式にして,地の文に入れる際には,被乗数と乗数の順序に気をつかうのではなく,積を記載してください.「3人×5回」か「5回×3人」かで迷う必要はなく,「5回×3人=15回」としましょう(「3人×5回=15回」も同等によいと言えます).
「5回×3人=15回」または「3人×5回=15回」だけを見ると,5回の3つ分という,倍の関係に見えますが,研究の評価実験では,一人につき5回の作業を,3人に実施してもらいます.1回の作業で作られる記録を「1レコード」と書くと,「5回×3人=15レコード」または「3人×5回=15レコード」ということで,これも直積集合になるのでした.
(最終更新:2021-02-20 深夜.問題文に「各学生には」を追加しました.これがないと,各グループで5問,全部で10問という解釈もできるのでした)