「おはようさん」
「あっ,パパ,おはよー」
「さきの子か,今日わは子どもの中で一番の早起きやな」
「そやで」
「あのな,さきの子よ.机の上の,このパンダのカップ(手を入れて),知ってるよな?」
「うん,知ってるよ」
「ときどき,パパここにお菓子を入れててな」
「ふーん」
「それ,食たらあかんとは思てへんねん.パパがおらんときにでも,1個くらい,取ってええんやけどな…」
「…」
「昨日,これにパパが手ぇ入れて,取り出したんがな,個包装のアメやねん」
「アメなん?」
「それもな,包みだけや.中身,あらへん」
「…」
「思い当たるところ,あるか?」
「うん! ある!!」
「お前か」
「そうやで! うち食べた!!」
「…まあええわ.ほんまはええことないけどな.これからは,そういう包みを,カップの中に入れたらあかんで.ええか」
「だってあのとき,ゴミばこなかったもん」
「….今1個,ほしいか?」
「うん,ほしい」
「ほらよ.って,投げるんは,ほんまはあかんねんけどな」
「食べてええの?」
「今か? ええよ.せやけどアメは食べるっちゅうより舐めるもんやけどな」
「そんなんどうでもええねん.…ん? …ん! パパ,開けてぇ」
「こっちに投げてみな.ほいキャッチな」
「パパ,すご~い」
「そんなんすごくないよ.こういう包みは,ギザギザの谷のところから切ったら,ハサミなしで開けることができてやな…ほいできた」
「パパ,やるやないの」
「いっつもこんな感じや.ほな,包みを放るから,受け取れよ」
「アメのほうくれる?」
「せやったな」