某年月日,テレビ(というか動画)に釘付けのすえの子を追い出してから,少し仕事をして,明日起きる時刻を,スマートフォンで設定した直後のことです.
あとの子が,部屋に飛び込んで来ました.
「こわかった…ここで寝る」と言い出し,部屋の毛布にくるまって,横になりました.
この冬,2回目です.前回は:
15分ほど,PCに向かって自分の仕事をしてから,声をかけてみても,あとの子は動く気配がありません.
もう1枚の毛布の所在を確認してから,PCの画面と,部屋の明かりを消して,自分も寝ることにしました.あとの子に当たらないよう,部屋の入口付近で,横になりました.
目を閉じて,すぐには寝つけません.
ふと,自分がこの子よりも小さかったころの出来事を,思い出しました.夜中に,父が眠る部屋を通る必要があって,避けたつもりでも,父の足を踏んでしまい,叱られたのでした.
今は自分が父親です.あとの子が夜中に起きて,本来の寝間に行く途中に,自分を踏んだり蹴ったりしないか,まあそのときはそのときかな,などと思いながら眠りにつき…
スマートフォンのアラーム音が,鳴り響きました.
止めないといけません.
暗い中,音の鳴る方に這って進み,右手を広げて,がしっと握りました.
しかし堅さも大きさも違います.
このとき,あとの子の顔を掴んでいました.手のひらの真ん中の感触は,おそらく彼女の鼻です.
ごめんごめんと言って手を離し,ほどなく,スマートフォンを見つけて音を止めました.
翌日の夕食のときに,この出来事を話してみると,あとの子も,こちらの手の感触を,よく覚えているとのことでした.