「パパ,おはよう…」
「おはようさん,その声は,あとの子やな」
「パパ,服着ていい?」
「いや,服は着る必要あるやろ」
「ちゃうねん.今日さ,友達と,おでかけするんやけど…」
「ああ言うてたなあ」
「パパの服で,着れるのあったら着たいんやけど」
「ん? ダボダボにならんか?」
「それがええねん」
「ほなまあ,クローゼットから,着たい服,出してみなよ」
「わかった」
その後なんやかやあって,着る服が決まりました.
「しっかし…」
「パパ,どしたん?」
「途中で,寝間着代わりに着てるパパのTシャツを指さして,それ着たかったって言われてもなあ」
「前に着て,サイズ,ちょうどよかってん!」
「まあそれはそれやな.この服,いま脱いで,お前今日これ着てけやっつーわけにもいかんし」
「それはいや」
「あとあれやな.お前らが何か,おいしいもん食べて,『残った』いうて差し出したもんを,パパなりママなりが食べるのは,たまにあるけど…」
「…」
「パパの食べた途中のやつを差し出して,『食うか』って言うても,子どもら食わんよなあ」
「そういうの,ほしい!!」
「….そういう場面が来たら,声,かけちゃるわな」
妻の祖父が存命だったころ,小学生だった妻(や妻のいとこ)に対して祖父が「アメ玉あげよか」と言って舐めているアメ玉を口から取り出して孫に近づけ,「そんなんいらん~」と反応するのを楽しんでいた,というのを妻から聞いたことがあります.