「ただいま…」
「おかえりぃ」
「おっと,廊下に,あとの子か」
「んでパパの長袖シャツ着てるし…」
「袖は何回か折って,あとの子の腕にちょうどにしてて…」
「シャツの下は,ズボンの中に入れてんねんな」
「そ」
「いや,『そ』やなくてやなあ」
「さきの子ちゃんに,着ていいって聞いたら,いいよって言ったから」
「いやいや,着ていいかどうか判断するのは,さきの子やなくて,パパな.パパの服やねんから」
「呼んだぁ?」
「さきの子か.ただいま.お前がちょくちょく着るパパの服,今,あとの子が着とるがな」
「そうやで」
「『そうやで』やないやん.パパ着る服,減ってまうやろが」
「洗ってから,着てや!」
「なんや,さきの子か,あとの子が,この服,洗ろてくれるような言い方やな」
「洗たく機に入れとくから」
「そんなこったろうと思た」