「パパ,おたん生日おめでと~」
「おめでとぉ! パパ!」
「すえの子と,さきの子やな.どうもありがとう」
「バースデーケーキ,作ったんで見てほしいんやけど...」
「ああ,散歩から戻ってきたときに,スポンジ,できてたな」
「デコレーションしたからね」
「ほいほい,ほな見せてもらおか」
「さきの子,冷ぞう庫から,出して!」
「(相変わらず呼び捨てやな...)」
「ほい,いーよー」
「ふむ,おっ...えっ」
「すえの子ちゃん,上に書いたん,これだけなん!?」
「そうやねん...」
デコレーションの上部に,チョコペンで,「HAPPY」「パパ」と書かれていました.
「ハッピー...パパ!?」
「『パパ』は書けてんけど」
「んで下にもチョコでお飾りかあ」
「…」
「あれやな,チョコペンで下の飾りを描いてから,『HAPPY BIRTHDAY PAPA』と書こうとしたけど,『HAPPY』まで書いたときに,『BIRTHDAY』を書くためのチョコが足らんかったから,『パパ』だけにしたんやな?」
「そんなとこ」
「おいしかったらええねん.家族の数で分けてくれるか?」
8等分した1切れをいただきました.穏やかな甘さのあと,スポンジの硬さと,デコレーションの柔らかさのギャップを,味わいました.