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大学におけるハラスメント対策

昨日の午後,学内で,「大学におけるハラスメント対策 -広島大学の取組みから-」と題して,広島大学ハラスメント相談室の横山美栄子先生の講演があったので,出席して聞きました.
配布資料の内容は避けて,聞いていて興味深くメモを取ったことを:

  • まず快適な教育研究環境(いわば理想)を挙げ,それを阻害するものとして,ハラスメントを考えていく.
  • 痴漢行為を受けると,車内で訴えたり警察に届けたりできるが,セクハラ行為を受ける人は最初,自分が性的なものとして見られていることのショックが生じる.
  • 「同じ行為でも,する人によって,ハラスメントになる/ならないは,不公平?」については,それはそういうもの.例えば,自分が特定の異性を家に招き入れたことがあるからといって,全ての異性を招き入れなければならない,というわけではない.
  • 「当事者同士が納得していれば,どんな行為でもよい」というわけでもない.例えば,研究室の教員・学生による恋愛自体が,環境型セクハラ(「あの学生にはいい成績をつけるのでは」と他の学生が思うかもしれない)になる可能性がある.また,恋愛関係が破綻しても,その後,きちんと指導できるかという問題もある.
  • まずい研究室の事例
    • 研究室に女子学生を配属してもらおうと,「レディースコース」を作る.
    • 「いいデータ」を持っていけば重用される(「悪いデータ」だと叱られたり無視されたりする).
  • ハラスメントの加害者は,罪の意識がないか,力関係があるので訴えないだろうと(意識してあるいは無意識に)思っているかもしれない.権力を振りかざすuse power人は,より上の権力に敏感なことが多い.
  • 3時間も立たせて説教するのは,学生にもかわいそうだし,先生もそんなことにエネルギーを使うべきではないだろう.
  • 教員は教室の“王様”なので指摘を受けにくいことを意識すべき.「学生のため」と思ってみても,本人にはショックが大きいものである.
  • 怒ることがダメというわけではない.アフターフォローが大事だし,どれくらいの負荷を与えればよいかは,教員の経験と,学生をよく見ることとで決めるとよい.
  • 「常時,学生に,教員の送り迎えをさせる」のはパワハラに当たる.
  • 相談室への相談のうち,調査委員会へ上げるのは数%.大部分は,部局への指導となる.
  • ジェンダーハラスメント的発言は,プライベートな場で言ったり,家庭で言ったりする分には問題とならない.労働の場で言うことが問題である.
  • セクハラでは,被害者擁護が起こりやすい(がそれは間違い).
  • 隠蔽しても,問題は消えない.
  • 「ハラスメントをなくすための組織的な取組み」は,学長や上層部がやればいいというものではない.ゼミなどでの学生間のハラスメントは,指導教員が正さないといけない.
  • 意図的にいじめているのでなければ,ハラスメントを受けている側が不快の意思表示をすることは効果的.
  • 相談を受ける人の信頼性をどう醸成していけばよいか.相談を受けても,「結局あなたは大学側の人間だろう」と思われるのはまずい.これについては,外部の専門家を持つこと.そして相談を受ける人は,相談した人のサポートに徹し,ハラスメントの認定をしないこと.「それはハラスメントじゃないんじゃない?」と言うのは信頼を損なう.