『ザ・C99―複素数型も使える新しいCの文法と例題集 (NSライブラリ)』を読みました.以下,雑多な書評です.
- コンパイラはGCCです.C99の機能を使うときに,コンパイラオプション(-std=c99または-std=gnu99)をつけるよう指示しているのは,好感を持てます.
- 例題の中では,漢字コード表を作るもの(pp.154-157)が面白いですね.授業で取り上げようかな….
- コード例を見ると,スペーシングについて,一貫性がとれていません.コメントも少なめです.
- 見ただけでおかしいコードがあります*1.
- 1章で準備的説明をしてから,2章でいきなりプログラミングの例を示しています.Cの文法を一通り学んだwith fair knowledge of C syntaxけど,どのようにプログラムを作ればいいか分からないという人にとって,「設計のしかた」を学ぶ,非常にいい例題だと思います.しかし,この本をCの入門書として読む人には,さっぱり分からないかもしれませんね.
- 2章で最終的にできたプログラム(p.32)について,これをさらに読みやすくする試みがあればさらに良かったのですが*2.'G'などの文字定数は,列挙型に置き換えたいものです.変数名やスペーシングが不統一で,これも書き換えたいものです.
- C99の詳細を知るには,良書と言えません.すでに紹介した『Lepton先生のCの強化書 (開発の現場セレクション)』や,WebならvO~O¾ê C ÌV@\のほうがいいでしょう.この本は,C90やC99といった規格にとらわれず,手軽に利用可能なコンパイラGCCを使って,いろんなプログラムが作れますよというのを示している入門書だと,理解しています.