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科学力のためにできること〜情報教育のためにできること

科学力のためにできること―科学教育の危機を救ったレオン・レーダーマン

科学力のためにできること―科学教育の危機を救ったレオン・レーダーマン

実は読みかけです.半分弱までいったところ.
アメリカの科学教育の現状を憂い,学ぼうとする人々に科学的なものの考え方を知ってもらうためにどうすればよいかを提案するというアンソロジー*1です.エッセイ一つ一つの分量が短く,難しい表現がほとんどないので,さくさく読むことができます.
今までのところで印象に残っているのは,ここです.

これまで科学を「身をもって体験した」ことがなく,ひたすら「読んだ」か,講義を「聴いた」ことしかない生徒は,知っていることには関心を持つが,科学の何たるか,そして科学的な知識をどのように得るかについては誤った印象を抱きがちである.また,科学に結果ばかりを求め,研究の面倒なプロセスを無視しようとする人は,科学の不確実性や最先端での論争を見聞きすると,不安に駆られるかもしれない.そのような人が悩ましい疑問を抱えると,はっきりした単純な答えが欲しくてたまらなくなり,往々にして,科学者が提供する情報ではなく,友人や信頼する助言者の意見に頼りがちだ.ましてや科学者の間で意見が分かれている場合はなおさらだ.
科学の実際を学ぶには,身をもって体験するに限る.それについては,以下の三点が重要である.
(1)就学前から学部生までの教育を通じて,科学を実際に体験させる本物の機会を提供する.(2)科学の問題と,生徒が関心を持っている問題とを結びつける.(3)科学と他の科目を統合し,科学がどの分野にも寄与しており,同様にどの分野も科学に寄与していることを教える.自分が関心を持っている対象が科学と深く結びつけば,若者にとっての科学は,記憶の対象ではなく経験すべきものとなる.
(pp.49-50)

科学の中でも生物学・化学・物理学に焦点を当てて論じられているのですが,それは,レオン・レーダーマン氏が物理学者であることと,それらの分野では何を教えるべきかが安定しているからなのでしょう.
対して,情報科学についえは本の中で言及がありませんが,プログラミング言語やインターネット活用で,技術・教育両方の観点で,これは教えなければならないという,いわば「枯れた」内容というのはほとんど見当たらないなあと感じます.ただし,基礎的なテーマの中では,2進数,集合・写像・関係,命題論理あたりは,情報の分野の学生なら必須ですし,当学科では1年の前期・後期の必修科目で学びます.
情報分野で,「科学を実際に体験させる本物の機会」というのは…機器を使った実験,かなあ.私自身は担当していませんが.自分でできる範囲だと,講義の話題で,プログラムを作るかサーベイをするか.しかしそれが「レポート(点数)のための課題」であっては,(情報)科学への理解・関心というのは持てないんですよね….

*1:裏表紙には「アンソロジー集」とあるのですが,anthology自体に「選集」などの「集」の意味があるわけで,集が重複しておかしいんじゃないかと思うのですが…google:アンソロジー集で約1,230,000件ヒットですか.