わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

本棚より

本棚より,現在の自分を支えている本をいくつかピックアップします.

JavaからRuby

JavaからRubyへ ―マネージャのための実践移行ガイド

JavaからRubyへ ―マネージャのための実践移行ガイド

  • 前々から気になっていた本で,電車の中で半分ほど読みました.Matzさんが2007-04-20に書かれている,『あらゆる新しい技術に応用可能』に同意です.
4冊 - わさっき

Ruby導入決断プロセスはpp.11-12で「情報収集」「限定的な展開」「広範な展開」という3ステップで書かれています.7章の「普及」,8章の「リスク」もまた,新しい技術を自分で理解し,研究室や学科(講義・演習)を通じて広めていくときに,読み直してよく考えないといけないことです.

科学力のためにできること

科学力のためにできること―科学教育の危機を救ったレオン・レーダーマン

科学力のためにできること―科学教育の危機を救ったレオン・レーダーマン

過去に2度,取り上げています.

今,本をぱらぱらめくってみると,妙なところに付箋がついていました.

(略)科学リテラシー育成に向けて大学教員の努力を促すために,二つの指針を掲げたい.
教えたい学生ではなく,目の前にいる学生を教えよう.
学生に知識を持つことを期待するのなら,知識そのものを教えよう.
(略)総じて科学の教員たちは,高いレベルの科学を学ぶ意思のない学生に,自らの専門分野を教えることに抵抗があるらしいのだ.(略)
科学を一般教養科目として教える場合は,量的に考えるのが苦手な学生や,証明の何たるかもわかっていない学生,あるいは物理的モデルとして考えること自体が苦手な学生にも教えることになる,という事実を受け入れなければならない.私たちの目標は,私たちが望む学生ではない,このような学生を指導して,科学リテラシーを身につけさせることなのだ.
(略)
二つ目の指針を掲げたのは,ある意味,現代の教育者が方法重視に傾きがちなことに対抗するためだ.(略)方法支持派は次のように考えているように思える.「科学的方法」と呼ばれるものが存在し,それを理解する者は何を教わったかに関係なく,すべての科学を理解できるようになる.従って,科学教育の主眼は,この方法を教えることにおかえれるべきであるというのだ.(略)
実際には,市民が科学リテラシーを身につけるには,科学のあらゆる分野について浅く広く知る必要がある.それとともに,科学的方法に関しても多少は知っておくべきだが,そうした知識が,各分野の基本的知識に取って代わるわけではない.(略)
(pp.116-119)

何を教えるべきか,そのために自ら何をしなければ(学ばないと)いけないのか,考えさせられる一節です.*1

社会人として生きる 技術者として生き抜く

これも,過去に2度取り上げています.

2004年度の基礎教養セミナーで,輪講に使いました.いくつかのページに,書き込みをしています.p.5には,『実現』のそばに「現実のものにすること」,『夢は実現するものなのです』のそばに「主体的に行動して達成・獲得する」と書いています.
ここでは,文章の引用よりも,目次の各項目を列挙するのが,よさそうです.特に前半,より良い大学生活を送るためのヒントが詰まっています.

1. 大学で学ぶべきこと / 2. 時間を守る 期限を守る / 3. 夢と空想 / 4. 履修科目 / 5. 挨拶は基本中の基本 / 6. メモをとる / 7. ほう・れん・そう / 8. 偏差値 / 平等主義 / 10. 人脈を築く / 11. わかりやすい文章 わかりやすい説明 / 12. 運も実力のうち / 13. 日本は社会主義国家 / 14. 一番の親孝行 / 15. はじめての海外 / 16. 一番楽な職業 / 17. フリーター / 18. 協調性 / 19. 会社選び / 20. 理想の会社 / 21. 相対評価絶対評価 / 22. 学生最後の一日 / 23. 女性の敵 / 24. 女性技術者 / 25. 趣味と仕事 / 26. 本音と建て前 / 27. 母親離れ / 28. ウソ / 29. 資格 / 30. ハードル / 31. 歯車 / 32. リストラ / 33. 偶然のチャンスを活かす / 34. はじめての論文 / 35. 管理職 / 36. 工場長 / 37. 理想の部下 / 38. 人生のターニングポイント / 39. さかのぼって今を生きる / 40. 同窓会 / 41. 人に生かされ,人を生かす

インストラクショナルデザイン

インストラクショナルデザイン―教師のためのルールブック

インストラクショナルデザイン―教師のためのルールブック

どこだったかのブログのコメントで知った本です.インストラクション(日本語に訳すなら,「指導」ですか)にもデザインにも関心があり,目を通すと,分かりやすく上手く書かれています.Amazonのレビューでは,件数は4件と少ないながらもすべて5つ星です.
「デザイン」と「分かった」について,抜き書きします.

《デザイン》とは設計のこと.インストラクションのデザインは美術・芸術的なデザインより,むしろ自動車や住宅の設計に近い.直感や感覚ではなく,科学的な知識やルールを使って設計図が描かれ,それに基づいて製造,建築されるからだ.直感や感覚だけで設計された自動車は走らないだろうし,住宅の場合にはたちまち崩壊するか,昨今なら,欠陥住宅としてテレビ番組に登場するだろう.自動車が安全に走行し,住人が安心して住めるようにするためには適切な設計が不可欠なように,インストラクションが成功するには適切なデザインが不可欠なのである.
(pp.7-8)

新しい概念について「分かった」とみなすには...

  • その定義を言えるようになる(丸暗記でok).
  • その定義を自分の言葉で言い換えられるようになる.
  • その定義に当てはまる例と例外を区別できるようになる.
  • その定義の例を自分で考えられるようになる.

(p.82)

過去に取り上げたのは…

手元に『インストラクショナルデザイン―教師のためのルールブック』を置いて,書き進めました.「インストラクションとは // 何かの行動を引き出すための仕掛けである」(p.7)が,箱囲みになっています.学生が疑問を持ち,質問という形で表明するという「行動」を,教員が支援するのは,まさにインストラクションです.

質問対策2 - わさっき

「理解してほしいことは手を変え品を変え説明する」「ときには途中段階を省く」「いくつかの事項を組み合わせて問題を解く場合は,それらが分かるように細分化する」「小テストを実施し,正答率を求める」「授業資料はWebで公開し,次学期にも参照できるようにする」などをして,理解度アップに努めています.
《個人攻撃の罠》がダメというならどうすればいいのかは,同書で引き続き説明されています.『鉄則中の鉄則:学び手は常に正しい』(p.65)であり,『「間違うにはそれなりの理由があるはずだ」「改善できる原因はどこにあるだろう?」』(p.66)と考えるべきだと,著者は主張しています.私もこれに賛同します.

個人攻撃の罠 - わさっき

おまけ:今の自分を支えている,ものの考え方

  • プログラミング技能とプログラミング指導技能の向上
  • 問題解決法としての「デザイン」の実践と周知
  • 情報セキュリティ由来の,工学的思いやりの心
  • その場にいない人*2を悪くを言うときには,たとえ本人のいない酒の席であっても,ブログやメールで発信するときであっても,心が痛むこと

*1:極端な方法重視への批判としては,wikipedia:カーゴ・カルトが有名でしょう.『ご冗談でしょう、ファインマンさん』文庫本の,確か下巻で読みました.またHow To Become A Hacker: Japaneseの「5. 心構えは技能の代用にはならない」に関して,ここでの「技能」が計算機利用に関する広い知識に,「心構え」が計算機利用の方法論に,それぞれ対応するように感じます.

*2:典型的には,学生.