わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

大事な人をどう呼ぶか

私は切れました。彼は最初私がなんで怒っているのか分からなかったようでした。「えっと、でもずっとまきさん(仮名)って呼んでるし、いまから変えるのは変だよ……」。私は泣いて抗議しました。「そこを変えろって云ってないでしょ。なんでまきさん(仮名)はまきさんで、わたしは<引用者の判断により省略>さん(=名字)なの。逆でしょ。ふつう逆でしょ。あたし、あなたと婚約してるのよ。あたしたちもうすぐ夫婦になるのよ」。さすがに彼もそこまでいわれて、それはまずいことなのだということは理解したようでした。

大阪の大学・2 - 鰤端末鉄野菜 Brittys Wake

非モテ」に引っかけて,大学時代の甘い思い出のご開陳…と思いきや,この急展開で,びっくりしてブクマしました*1
キーワードは「相手のことをどう呼ぶか」*2,つまり二人称です.
ブクマコメには『ロシア語の授業で、元恋人の二人称がтыからвыに変わったっていう文章を読まされたなあ』と書きましたが,2つの単語はうろ覚えでして,wikipedia:ロシア語+二人称で調べ,以下の記述を確認してから,書いたのでした.

友好的で親密な『温かい』関係はты、感情を表に出さない一際丁寧な『冷たい』関係はВы

現代ロシア語における二人称代名詞と名前による呼びかけの相関

『二人称がтыからвыに変わった』*3というのは,この2つの単語を効果的に使い分けて,また背景描写から,恋人だった関係が遠のいていくというのを表したものだった,と記憶しています.分量は多くなく,詩だったかもしれません.
ロシア語はここまで.
ついでなので自分の学生時代を思い出してみますと,ある女性と,しょっちゅう顔を合わせるわけではないけれど,まあおしゃべりするとなるとけっこういろんなことを話したり聞かせてもらったりした人がいたのですが,そのとき向こうはこちらのことを指す表現を,姓であれ名であれ「あなた」といった二人称代名詞であれ,一切使っていないということに気づいたときには,愕然としたものです.
さて冒頭の引用.彼にとって,ブログ主さんの下の名前で呼んで親しくしていた人が別にいる/いたからではと推測しました.(まあでも外れでしょう.)
これまた自分の経験で恐縮ですが,見合い結婚でして,釣書を見たときに,名前のところで,あれ,かつて「ぱぱ」「ママさん」と呼び合っていたママさんとおんなじ名前だなとか思ったことがあります.実際,子供が生まれてコミュニティ内で「ママさん」という呼び名が定着するまでは,“(下の名前)さん”で呼んでいたものでした.そんなこともあって,お見合いお付き合いの途中で,「“(下の名前)さん”と呼んでいいですか?」と聞く直前には少しだけ,緊張したものです*4
あともう一つ推測できて,周りの女性は彼から見てローカル変数であり,婚約者であるブログ主さんのことを,今後一生を共にするグローバル変数と位置付けていた,という可能性です.結婚というイベントを機に,呼び名を変えるつもりだった…これは,外れどころか無茶な推測でした.

*1:http://b.hatena.ne.jp/takehikom/20081213#bookmark-11262448

*2:しかし今読み直すと,「相手からどう呼ばれたいか」なのですよね….

*3:「ты」の発音を無理に表記してみると「とぅぃ」,「вы」は「ヴぅぃ」です.1音節として発音します.

*4:それ以降,呼び方はお互い下の名前となったのですが,式を挙げるあたりまでは,お互い敬語でした.