日本語を書き出すコツ
- 目次を作ります.章と節(必要なら項)*1の番号と見出しをきちんと決めます.決めながら,それぞれの節で何を書くことにするかを,頭の中で固めていきます.
- 本文ですが,それぞれの節で,何を書かなければならないか,あるいは,この節を読者が読み終えたときに何を知ってくれればいいかを,一文(1〜2行)言で書きます.
- その節で,書くべきことを,情熱に任せて書いていきます.はじめは単語を並べるのでもかまいません.つなぎの表現を入れて文に,そして段落にしていきます.
- 「何を書かなければならないか」と「書いたこと」を読み比べ,軌道修正をします.書き足りないのは分かっているが,言葉が思い浮かばないときは,「((」と「))」のカッコ書きでメモを残し,他の節に力を注ぎましょう.
本論文の構成
1章の最後の節は,「本論文の構成」という節見出しで,2章以降の各章で何を書くかを簡潔に書いてください.
各文の末尾表現の定番は「を述べる」なのですが,「を述べる」ばかりで文を終わらせないように.例えば以下の表現が使えます.
- について説明する
- を明らかにする
- について検討する
- を紹介する
- を概説する
連続する2つの章については,句点(.)で切るのではなく読点(,)で結びつけると,引き締まった印象になります.
考察の書き方
考察は,構築したシステムや実施した実験と比べると,書きにくいものですが,それでも一つ,節を作ってなんとか書き上げましょう.
最初に,実験の結果(簡単な根拠を入れて),このシステムで「うまくいった」ことを示します.
今後の課題も,2点程度,挙げたいところです.多すぎても少なすぎてもいけないので,難しいです.「それ,すぐできるんちゃうの?」という課題は,挙げないようにします.
図表の参照
図表は本文中で,番号をつけて参照してください.「以下の図」は不可で*2,これを見たら,こちらは確実に赤入れします.
以下の文例から選んでください.
- 図○に,〜〜を示す.
- 図○は,〜〜である.
- 〜〜を図○に示す.
- 〜〜(図○).
先行事例
「自分の研究を行うまでに,行われてきたこと」を,先行事例と言います.適切な先行事例を挙げ,自分の研究はそれとどこが違うのか(あるいは,先行事例の課題で,自分の研究で解決したいのは何なのか)を明らかにすることもまた,論文としてまとめる際の重要な作業です.
先行事例に言及するとき,次の2つから選んでください.
専門用語
専門用語は,Googleなどで正しい表記を確認し,日本語入力で辞書登録しておきましょう.
ある程度,書いてしまって,書き間違いに気づいたら,Wordの機能で一括変換してください.
キーワード
修士論文だけでなく,卒業論文でも,キーワードを4〜5個,選定しないといけません.
- 最初は,この研究の大まかな分類で,自分の分野なら誰でも知ってそうなものにします.
- 2番目は,少し小さな分類を挙げ,的を絞ります.
- 3番目も(5個なら,4番目も),使用している手法を挙げるといいでしょう.
- 最後は,用途に関するキーワードを考えてみてください.
*1:本文で,章を参照するときは「x章」または「第x章」と書きます.節番号は「x.y節」,小節番号は「x.y.z項」とします.「項」は今年度からの俺研究室ルールです.「節x.y」は間違いです.
*2:論文作法として,本文と図表の配置は,独立したものであるべきという考え方によります.Wordで書くと,ページの途中に図表を載せるのを許容せざるを得ないのですが,TeXで書くと,ページの上や下に図表を配置するのを指定できます.これはこれで,思いもよらない箇所に置かれることになって,よく悩むのですが.
*3:引用は,システムまたは対象となる名称の直後か,文末(句点の直前)に付けます.
*4:「筆頭筆者」「first author」と言います.
*5:英語で複数人なら,「ら」に代えて「et al.」とします.