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論文指導・2008年度版(2)

日本語を書き出すコツ

  • 目次を作ります.章と節(必要なら項)*1の番号と見出しをきちんと決めます.決めながら,それぞれの節で何を書くことにするかを,頭の中で固めていきます.
  • 本文ですが,それぞれの節で,何を書かなければならないか,あるいは,この節を読者が読み終えたときに何を知ってくれればいいかを,一文(1〜2行)言で書きます.
  • その節で,書くべきことを,情熱に任せて書いていきます.はじめは単語を並べるのでもかまいません.つなぎの表現を入れて文に,そして段落にしていきます.
  • 「何を書かなければならないか」と「書いたこと」を読み比べ,軌道修正をします.書き足りないのは分かっているが,言葉が思い浮かばないときは,「((」と「))」のカッコ書きでメモを残し,他の節に力を注ぎましょう.

本論文の構成

1章の最後の節は,「本論文の構成」という節見出しで,2章以降の各章で何を書くかを簡潔に書いてください.
各文の末尾表現の定番は「を述べる」なのですが,「を述べる」ばかりで文を終わらせないように.例えば以下の表現が使えます.

  • について説明する
  • を明らかにする
  • について検討する
  • を紹介する
  • を概説する

連続する2つの章については,句点(.)で切るのではなく読点(,)で結びつけると,引き締まった印象になります.

考察の書き方

考察は,構築したシステムや実施した実験と比べると,書きにくいものですが,それでも一つ,節を作ってなんとか書き上げましょう.
最初に,実験の結果(簡単な根拠を入れて),このシステムで「うまくいった」ことを示します.
今後の課題も,2点程度,挙げたいところです.多すぎても少なすぎてもいけないので,難しいです.「それ,すぐできるんちゃうの?」という課題は,挙げないようにします.

図表の参照

図表は本文中で,番号をつけて参照してください.「以下の図」は不可で*2,これを見たら,こちらは確実に赤入れします.
以下の文例から選んでください.

  • 図○に,〜〜を示す.
  • 図○は,〜〜である.
  • 〜〜を図○に示す.
  • 〜〜(図○).

先行事例

「自分の研究を行うまでに,行われてきたこと」を,先行事例と言います.適切な先行事例を挙げ,自分の研究はそれとどこが違うのか(あるいは,先行事例の課題で,自分の研究で解決したいのは何なのか)を明らかにすることもまた,論文としてまとめる際の重要な作業です.
先行事例に言及するとき,次の2つから選んでください.

  • システム,もしくは何らかの対象を主語として,受動態で書きます*3
  • 文献を主語として,能動態で書きます.文献は,「著者の姓[文献番号]」の形で書きます.引用では,先輩や指導教員などであっても,呼び捨てにします.著者が複数の場合は,最初の人*4の姓に続けて「ら」*5と書き,それから「[文献番号]」です.

専門用語

専門用語は,Googleなどで正しい表記を確認し,日本語入力で辞書登録しておきましょう.
ある程度,書いてしまって,書き間違いに気づいたら,Wordの機能で一括変換してください.

キーワード

修士論文だけでなく,卒業論文でも,キーワードを4〜5個,選定しないといけません.

  • 最初は,この研究の大まかな分類で,自分の分野なら誰でも知ってそうなものにします.
  • 2番目は,少し小さな分類を挙げ,的を絞ります.
  • 3番目も(5個なら,4番目も),使用している手法を挙げるといいでしょう.
  • 最後は,用途に関するキーワードを考えてみてください.

*1:本文で,章を参照するときは「x章」または「第x章」と書きます.節番号は「x.y節」,小節番号は「x.y.z項」とします.「項」は今年度からの俺研究室ルールです.「節x.y」は間違いです.

*2:論文作法として,本文と図表の配置は,独立したものであるべきという考え方によります.Wordで書くと,ページの途中に図表を載せるのを許容せざるを得ないのですが,TeXで書くと,ページの上や下に図表を配置するのを指定できます.これはこれで,思いもよらない箇所に置かれることになって,よく悩むのですが.

*3:引用は,システムまたは対象となる名称の直後か,文末(句点の直前)に付けます.

*4:「筆頭筆者」「first author」と言います.

*5:英語で複数人なら,「ら」に代えて「et al.」とします.