日曜日に,田植えをしました.
田植え自体は,昨年,一昨年にもおおよそこの時期,日記に書いていますが,今日はもう少し突っ込んだところを.
田植えの3週間前に,苗箱に土を入れ,籾を撒いて盛り土をし,骨組みを組み立て黒いビニルシートをかぶせた苗箱入れに差し込んで,1週間待ちます.次に地面に並べて,朝夕,水をたっぷりやります.
田植えの前日の夕方の水やりを,私がしました.どれも,田植機の後部に差し込んで,がちゃこんがちゃこんやってもらうには十分な状態になっていました.それにしても,苗箱入れからすべて取り出したときには,生育状態が悪く,2割くらい戻したりしたのに,毎日の水と太陽光,そして植物の育とうとする力で,ここまで伸びるのかと思うと,感無量です.
とはいえ,箱ごとに見比べると,「良い苗」と「悪い苗」にはっきり区別できます.悪い苗は,伸びが少ないだけでなく,先端が日焼けでもしたかのように,やや黄緑色になっています.
今年は,これらの箱に,学校教育を投影するようになりました.秋から冬にかけて,全国学力テスト関係の本を読み,自分なりに考えたことが,影響しています.
箱が,教室です*1.籾を撒いたときには,テストがないので評価のしようがないのですが,人間には見えなくてもその時点で,「良い籾」「悪い籾」「生育しない籾」があったのでしょう.
水撒きは,何とも人工的な施策です.教育に恒常的に予算をつけることに相当しそうです*2.
苗は,頻繁に,人間の目によって見定められます.そして箱単位で比較されます.田植えをしているご近所さんどうしで,「今年はええ苗やわ」「しかし雨が少なあてかなわんな」などと会話をしたりします.全国学力テストであり,PISAやTIMMSなどの国際比較です.
任意の箱に注目したとき,苗の育ち方についてのばらつき(分散)は,たとえば教室で行うテストの点数によるばらつきよりも,小さそうです.これは,学校の試験問題は人為的なものであり,「基礎力も応用力もある人」「基礎力はなんとかだけど,応用力はまだの人」などが数字で分かりやすくなるように設計されているからでしょう.学校の内外の人の力を借りて,チームワークで面白いものを創りあげることは,クラスの思い出にはなっても,試験の点数にはならないものです.学び遊び叱られ,そして学校を出て,社会人としてやっていけるかというと,現状,多くの人がやっていっているわけです.
このような,苗箱と教室の比較をした場合,うまく対応づけられないものがあります.「飛び抜けた人」,あるいはエリートです.「良い苗」というのは,特定の苗ではなく,全体的に良く伸びている苗箱を指して言います.「悪い苗」も同じです.もしかして,良い苗箱の中に,伸びが格段に良いものが隠されているのかな,というと,田に植えられた直後の苗を思い浮かべる限り,そういうことはなさそうです.
教育とは別に,この1年で変わったことといえば,やはり我が子です.田植えが終わり,秋に収穫できたお米を,ご飯として娘が口に入れるのは,いつでしょうか.
本日のエントリを書く際に,見かけたもの:
- 農林水産省/苗箱.いつも名称が「苗箱」か「育苗箱」か迷います.Googleで比較した限りでは,「育苗箱」は稲以外の苗のための箱を指すことが多いですね….
- 苗箱バンド50本入り | 援農市場.『これを使えばワンタッチで10枚セット。』で吹きました.冷静に見直せば,「できます」が省略されていると分かるのですが,「10枚セット」という結びつきのほうが強いもので….