わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

私も,とはゼミ

とはゼミとは

上のリンクにあれこれ書きましたが,今回の話で最低限必要なことを,書いておきます.
今期実施している「とはゼミ」の参加者は,学科の1年1名,研究室の3年3名,M1院生1名(ただし授業優先)と私です.3年生とM1は,就職活動を前に,自己分析をできるようになるよう,半ば強制で参加してもらっています.1年生は,1単位になる自主演習としての参加です.
発表回数は,参加者によってまちまちです.ただし1年生は,自主演習の時間数を満たすため,毎回発表してもらいます.私も,奇数回に資料を準備し,発表します.
発表にあたり,資料を作ってもらいます.A4で1枚です.タイトル,氏名,日付のあと,本文なのですが,「(お題)とは」で始めます.説明は完全に自分の言葉にする必要はなく,とくに定義や事例について,Wikipediaなど,Web上の文書をコピーしてかまいません.ただし,すでに書かれている文書の編集に終始することのないよう,後半では,「そのお題に対して,自分はどうなのか」など,主体的な記述を盛り込むことを課しています.

まずは調査

第5回とはゼミ(2009年12月11日)は自分の番.発表前から,どんな「1枚もん」ができるか,楽しみです.
他にいろいろ入れてしまっていたため,自分の発表資料は,当日の朝に作成することとしました.タイトルは決めていまして,「デザインとは」です*1
デザインについて自分なりに書きたいことはあるけど,気持ちを抑えて,まずは外の情報を調査します.Firefoxの検索窓に「デザイン」を入れ,Googleの上位のところを一つ一つ眺めて,参考になりそうなものを絞り込みます.今回(の日記で挙げたいもの)は次の2つです.

「広義のデザイン」をベースにしましょう.
設計といえばデータベース.うちとこは,データベースを活用してナンボですから.それはともかくとして,データベースのデザインを語るとなると,概念設計・論理設計・物理設計は不可欠ですね.1年生にも,段階を踏んで設計をすることを知っといてもらいましょう.
次に,自分なりに書きたいことの検討です.「外の情報」に含めるべきなのかもしれませんが,自分の過去の日記です.JABEEのエンジニアリングデザインについて書いたところを見つけておきます.JABEEのサイトの文書一覧から取得できる,『「認定基準」の解説』のPDFファイルも,今一度取得して読み直しておきます.
Subversionの個人作業用フォルダの中に,20091211というフォルダを新設し,さらにそこに,空のclip.txtというファイルを作ります.clip.txtには,読んだところのURLと,使えそうな表現を貼り込んでいきます.クリップボードというよりは,スクラップブックですね.保存したら,ディレクトリごとコミットします.

書きながら,考える

別のフォルダにある,前回発表のWordファイルをコピーし,ファイル名を変更してから,開きます.タイトルと日付を変更しますが,前回の本文は,すぐには削除しません.んでコミット.以下いちいち書きませんが,ひと息つく前に,コミットをしています.
clip.txtの良さそうな表現をWordファイルに流し込み,文の妥当性をチェックしながら,刈り取ったり,肉付けをしたりします.出だしは,Wikipediaの広義のデザインを使って,まずはこう.

デザインとは,人間の行為(その多くは目的を持つ)をより良いかたちで適えるための「計画」である。

カッコは丸ごと不要ですね.カギカッコは,なくてもいいなあ.句読点は「.,」で統一しましょう.
ところで「適える」って何て読むんだっけ? コピー・ペーストして,goo辞書で調べる…「かなえる」でしたか.ゼミ中に,引っかかりそうです.別の表現を探しましょう.たまたまPDICが開いていたので,日本語→英語→日本語として見つけることにします.適える,かなえる,fulfillの順に引くと,「実現させる」という訳語を発見しました.採用です.
最終的に,出だしは次のようになりました.

デザインとは,人間の行為をより良いかたちで実現させるための計画のことである.

他もどんどん,変えていきましょう.整えていきましょう.
デザインをする人のことを,「デザイナ」と書くべきか「デザイナー」のほうがいいか,迷いましたが,「デザイナー」を採用します.そういえば情報のシステム設計をする人は「デザイナー」と言いいませんね.調査…「wikipedia:アーキテクト」という言葉を発見しました.ただしこの単語でまず連想するのは,建築家です.もう少し調べて,「ITアーキテクト」を使うことにしました.
ある程度書いて,前回の本文を取り除いたら,全体チェックです.各段落で何を言いたいかを,確認します.

  • デザインとは
  • デザインの対象,デザイナーとは,情報分野の設計者は
  • データベースの設計法
  • エンジニアリングデザインとその能力

けっこうばらばらだなあ.最後の段落が,ずいぶん引き写しの多い,主観の乏しい記述になってしまいました.ページに余りがあるので,後でまた考えるとします.
何回か通し読みをしていると,3年生3人が頑張っているDBゼミでは,概念設計,論理設計,物理設計と分けていないことに気づきました.ER図を中心とした,ゼミ発表とディスカッションです.ER図以外の情報も大事なんだけどね…とグチっている場合じゃないや.「概念レベルを中心として,論理・物理レベルを含めた検討をしている」と書いておきましょう.検討をするのは,班の学生だけではないので,「教員や他の学生とともに実施」を挿入します.
ER図は,実体関連ダイアグラムの略ですね.おっと,同じ段落の前のほうで,「ERモデル(実体参照モデル)」と貼り付けていました.関連? 参照? Relationship? Reference? えっと,関連(relationship)のほうが正しいはずです.ここでもGoogleで調べたあと,「実体関連モデル」に書き換えました.
あと数行の余裕があります.もう一度,自分のこと,あるいは他の人へのメッセージを,考えますか.ここがある意味,楽しいところです.
設計(デザイン)という概念は,新しいものなのか…そんなことはないわけで,では昔の人は何と言っていたか,思いつくままに言葉を見つける…計画? 準備? 段取り? ん,良い言葉が出てきました.「段取り八分」は,妻の父がよく言っています.自分の父も,段取りは,口を酸っぱくして言っていた.ではこれを採用しましょう.
なのだけど,突飛ではないか? 類語辞典を引いてみましょう.デザインにはないのですが,設計には…「段取り」がありました.そいで,最後の段落はこんな感じで.

設計という言葉ではないが,その考え方は,古くから認識されていた.私は実父と義父の両方から「段取り」の重要性を耳にしてきた.段取りで行うことは,設計でも行っている(ただし,机上のプランではなく,ある程度行動する点に重きが置かれている).ある類語辞典にも,設計の類義語として,段取りを見つけることができた.

(日記を書いている今(2010年1月5日),見直すと,先頭を「デザインという言葉ではないが」とすれば良かったことに気づきました.他にもアラが目につきます.手元のWordファイル,修正しときましょう.)

完成,そして…!?

ちょうど1ページに収まりました.理想としては1〜2行くらいオーバーしていて,それを削るために文書全体をチェックしたいのですが,時間もないし(この言い訳は良くないなあ),もうこれで確定としましょう.「文字数: 1,209」です.
そして自分の分と,すでに届いている2人の学生の内容を印刷しておきます.
1時過ぎに,とはゼミ開始.まずは私.読み上げて…「実体関連参照モデル」!? しまった,「実体参照モデル」を「実体関連モデル」にするときに,消し忘れていました.そしてチェック不足です.
当日作成は余裕が持てなくてダメだということを,身をもって感じた瞬間でした.

本日のエントリの意図

昨日の内容から連想したことではありますが,内容上のつながりはなく,むしろ,Presentation Zen上映会 - わさっきのほうが近いと言っていいでしょう.

*1:第1回は「ゼミとは」.第3回は「コミュニケーションとは」です.第7回は,まだという振りをしていますが,日記を見直すと,キーワードを書いていました.