- 作者: Janice R. Matthews,Robert W. Matthews,畠山雄二,秋田カオリ
- 出版社/メーカー: 丸善
- 発売日: 2009/12/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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p.6の「サイエンティフィック・ライティングの本音と建て前」は,言い訳の書き方 - わさっきの英語版ですね.『It has long been known that ...(〜ということがこれまで知られてきている.)』という論文表現に対する本音が『面倒くさいのでわざわざ先行研究にはあたらなかったが,…』なのは,思い当たるところがあって,ちぢこまりました.
さてこの本の中で,一番引っかかったのは,1ページ丸ごとコラムになっていたところです.先頭だけ書いておきます.
校正係の悪夢
Can you read this? Olny srmat poelpe can.
I cdnuolt blveiee that I cluod aulacity uesdnatnrd waht I was rdanieg.
(p.147)
見た瞬間,ああ何年か前に流行ったよなあ,先頭と最後の文字が合っていれば,間は入れ替わっていても読めるってやつ.…と思いながらも,1語1語確認していくと,途中の「aulacity」で,小考させられました.
前後関係からすると,actuallyとしたいところです."I could believe that I could actually understand what I was reading."*1 です.
PCが使える状態で,zshを起動して,コマンドを実行して,aulacityがactuallyに置き換えられないことを確認:
$ ruby -e 'puts "aulacity".split(//).sort.join' aaciltuy $ ruby -e 'puts "actually".split(//).sort.join' aaclltuy
ですよね.本の「i」は「l」でないと.
ほかにも「that」は「taht」のほうが自然なんだけど…そろそろGoogleに頼りますか.
「aulacity」を引くと,「もしかして: audacity」と出ます.それでも「aulacityで検索した結果」が1件出て,YouTubeのどなたかのチャンネルのページなのですが,どうやらデッドリンクで,キャッシュを見てみると,確かに単語がありました.
fi yuo cna raed tihs, yuo hvae a sgtrane mnid too Cna yuo raed tihs? Olny 55 plepoe out of 100 can, I cdnuolt blveiee taht i cluod aulacity uesdnatnrd waht i was rdanieg. it dseno't mtaetr in waht oerdr the ltteres in a wrod are, the olny iproamtnt tihng is taht the frsit and lsat letteres be in the rghit pclae. IF YOU COULD READ THAT THEN POST IT ON UR PROFILE!
http://74.125.153.132/search?q=cache:EzVKk1OYTioJ:ijapan.org/blue/browse.php%3Fu%3DOi8vd3d3LnlvdXR1YmUuY29tL3VzZXIvdGhlZGFuY2V0dWJlcg%253D%253D%26b%3D29+aulacity&cd=3&hl=ja&ct=clnk&gl=jp&lr=lang_ja&client=firefox-a
元ネタを探すことにしました.日本語は
- OLNY SRMAT POELPE CAN RAED TIHS. : ELEPHANT BLOG
- Be Creative! 〜オンナ30歳、早稲田MBA奮闘記:読めますか?Only Smart People Can - livedoor Blog(ブログ)
いずれも「aulaclty」となっています.念のため,さっきのシェルで実行:
$ ruby -e 'puts "aulaclty".split(//).sort.join' aaclltuy
google:Olny srmat poelpe canとしてウェブ全体から検索してみると,文章の引き写しばかりで,出典を書いているものがありませんでした.
元ネタ探しはあきらめて,上述のp.147全体を見直してみました.途中に「olnyy」という表記がありましたので,結局この本の校正不十分といったところでしょうか.
いや,自他の論文原稿をくまなくチェックする癖がある自分でも,このページを校正しろってのは,やりたくないですね….
*1:それにしても,2番目の「I」は,youかweでないとしっくりこないのですが.