あなたの学科や専攻の1学年の人数は何人でしょうか?頭に思い浮かべられましたか?その人数のほとんどが毎年、ちゃんと卒論発表、修論発表を終えて卒業・修了していっています。冷静に考えれば、毎年、十数人あるいは数十人ができることをあなたができないはずがありません。
発表練習のやり方がわからない人向け簡易講座 - 発声練習
十分に準備して、自信を持って本番に臨んでください。
ふだんは「である体」のnext49さんのブログですが,「です体」で,学生に読んでもらいやすい文体で書かれています*1.
読んでさっそく,ブクマつけました:
takehikom 練習は本番のつもりで、本番は練習のつもりで/学生からのありそうな質問「発表準備に何日かければいいのですか?」
http://b.hatena.ne.jp/takehikom/20100207#bookmark-19138736
「発表準備に何日かければいいのですか?」について,自分なりに答えを考えてみますと…
おっと,大前提を書くのを忘れていました.この質問をする学生は,卒論執筆中であることです.提出期限と発表日はすでに決まっていて,論文書きと発表準備を,どんな時間配分ですればいいか迷っていると仮定します.書くのはWord,発表にはPowerPointを使います.現時点でのうちの研究室の学生を想定していますが,彼らに指示してこのエントリを読ませるという予定は,ありません.
それで私なりの回答ですが,「論文を書いているときから,発表について考えましょう」.だから,長い目で見れば,論文執筆開始の日が,発表準備開始の日でもあります.
これまで何度か,システム構成図など,1枚ものの図は,Word上で描くのではなく,PowerPointで描いて,Wordに貼り付けることを提案していますが,この作成作業も,発表準備に含めるのです.
とはいえ,発表準備に集中する日数,時間数が気になるなら…
そして,リハーサル以外で指導教員からアドバイスが得られにくいなら…
さらに,ぎりぎり合格できればいいやっていう学生さんを想定するなら…
発表日を別にして,最小3日間,でしょうか.具体的には
- 3日前:スライド構成と,各スライドのタイトルを決める.
- 2日前:各スライドに,文字と図表を乗せる.乗せてみたら,1枚1枚しゃべってみる.全体ができたら,通しでしゃべり,時間を計る.
- 1日前:リハーサルをして,時間を計るとともに,要修正箇所を教えてもらう.修正して,通しでしゃべり,時間を計る.
ただしこれは,突貫工事ならぬ,突貫プレゼン*2です.研究室に泊まり込めとは言わないけれど,朝から晩まで考え抜いて活動できるだけの気力,体力,周囲のサポートがあることを前提とします.アルバイトなんて,もってのほかです.
「1日前にリハーサル」と書いてみたものの,教える側の本音そして経験則としては,発表のちょうど2日前としたいところです.
前日では,根本的なところの修正をしてほしくても難しいですし,3日以上前にリハーサルをすると,本番までにあれこれ修正が入り,聴く教員からすると「え? そんな指示したっけ?」という方向にストーリーが進んでしまう可能性があります.
以下の条件に当てはまる学生さんは,準備日数を増やしてください.
- 「今回を乗り切る」だけでなく,もっと充実した発表にしたい(進学するなど).
- PowerPointの使い方があまりよく分かっていない.
- 先生が熱心に指導してくれる*3.
「スライド構成と,各スライドのタイトルを決める」ところ,軽視しがちですが,ここを入念にやっていると,あとの作業が楽になります.何が大事で何が納得いかないかが分かっているわけですから,先生からの指導で,ここをこう直した方がよいと指摘されたときに,受け入れやすくなります*4.タイトルだけでイメージが湧かないという人は,この時点から,文字や図表を乗せていくのもいいと思います.
研究室の本棚に,PowerPointの使い方や,学会発表の心得に関する本が並んでいれば,目を通す時間も,とりたいものです.ただしその本の世界に引き込まれないように.「自分の発表の成功のために,先人の知恵を参考にする」というスタンスで,読むようにしましょう.
まとめがわりのアドバイス:
- 「発表準備に何日かければいいのですか?」に限らず,答えというものは,前提によっていくらでも変わります.
- それでも,「おおよそこのくらい」という相場,「最低これだけは」という目安*5は,あります.
- 発表準備なら,ミニマム3日です.
*1:それでも100%懇切丁寧というわけではなく,例えば,途中にぽっと出てくる「ドレスコード」は,知らなかったら自習せよですね.私自身,この言葉を知ったのは働いてからです.
*2:あ,ちゃうわ.「突貫プレゼン準備」か.けどなんか間抜けやなあ.
*3:熱心な先生は,先生のほうから,リハーサルだけでなく発表準備指導のスケジュールを決めてくださいますよ.
*4:適当に作って,先生から指示されるままに修正していると,発表の根幹,いわば「背骨」がない発表になりがちです.そういえば背骨というと,next49さんの1年前の記事を思い出します.人気エントリーの筆頭のものです.
*5:まとめに脚注は野暮と分かっていても,書きますが,ものを買うときの目安は「上限いくら」という考え方で,安ければより良いとなりますね.