「パパぁ」
「ほら,目の前にパパおるで」
「何や何や」
「この子ね,電話機持ったら,耳に当てて『パパぁ』って言うねん」
「閉じた状態でも,うまいこと開けるんか?」
「できるんやで…(自分のケータイを閉じて渡して)やってみ」
…
「パパぁ」
「へえ,すごいな!」
「すごいやろ」
「それにしてもケータイ持つ向きが逆なんやが」*1
「ええねん」
「この子,変にボタン押したりせんか?」
「するよ」
「せやったら,変なとこ押して,発信することのないようにせなな」
「まあねえ」
「今も持たせてんのは,お前のケータイやな?」
「せやけど」
「よし,そこに電話をかけてみるか.えっと,俺のは…あった」
「この子,どんな反応するんやろね」
「番号は…ほい,かけたぞ.しかしこんな,お互いが見ぇる状況で電話っちゅうのもなあ」
じりりりり,じりりりり…
「鳴ったね」
「ああ,うちの子,ちょっとびっくりしてんのとちゃうか」
「いいやあ,大丈夫よねえ.ちょっと貸してね,このボタンを押したら,パパと電話できるんやで〜」
「と言いながらお前,今,電話を切る方のボタンを押したやろ」
「あ,ほんまや〜」
*1:上下が逆ではなく内外が逆.