わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

アンチ「本質」

  • この問題の本質は…
  • もっと大事なところがある.それは…
  • 基本問題に立ち返ろう.…

これらのフレーズの共通点に気づきました.
課題が,関係者の間でじゅうぶんに整理されていないのに,この一点に注目して考えればいいんだ,と誘導を試みていることです.
のちに,成功するなり正しいと判明するなりすれば,言った人には「慧眼」「先見の明」といった褒め言葉がつきます.
まあ,取り上げられないことが圧倒的多数なのですが.
では自分はどうするか…ここも「設計」だと思います.
どうすればいいか,よく分かっていない課題から始まります.これに対して,より具体的に解決したい箇所と,使えそうな解法の案(アプローチ)を列挙していきます.
次に絞り込みを行い,「定性的で,解決が不可欠な課題群」と「定量的で,トレードオフの関係にある課題群」に整理します.例えば,「瞬時に応答しなければならない」を前者の群の中に入れたければ,瞬時では曖昧なので,対象に合わせて50ナノ秒だとか1秒だとかを決めて,「1秒以内に結果を返さなければならない*1」といったように変換します.後者の群に入れるなら,「x秒以内に」と変数を導入し,以下同様です.
アプローチを組み合わせたものをいくつか用意し,解の候補とします.解の候補それぞれについて,必須項目のチェックをします.すなわち,「定性的で,解決が不可欠な課題群」の一つでも満たさなければ,その時点で却下です.
そういったフィルタをくぐり抜けた解の候補について,「定量的で,トレードオフの関係にある課題群」のもとで評価値を求めます.評価関数は,多入力一出力で,当然,比較可能にするため出力は実数値とします.その評価値が最も高い解の候補を,採用するということです.
…というのは理念的なもので,実際には自分の研究の中で,評価関数を用意して算出するということはありません.もし,研究発表で,実際に上のとおりに実施したと言ったら,「課題群の選定は必要かつ十分か」「もっとよいアプローチがあるのではないか」「評価関数は恣意的ではないのか」といったツッコミが来るでしょうから.
むしろゼミ発表などで,アドバイスをするときに,気をつけたいものです.
質疑の時間は限られているため,研究内容に欠けているように見える箇所を手短に示さないといけません.それでも,行うアドバイスが必要不可欠(=本質的)かどうかは分かりませんし,そうミスリードされるような言い方だと,課題の理解から遠のいてしまうかもしれません.
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*1:Webアプリケーションを構築する際,「1秒以内に結果が表示されなければならない」と書くとより厳しい注文となることに,注意したいところです.通信時間や,ブラウザ(クライアント側)のレンダリング時間も含まれるからです.