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初めてのゼミ発表

来週から,小ゼミ発表は4年生になります.PowerPointを使用するのは初めてとなる,卒研の進捗報告です.
といっても,卒研で何をするかがじゅうぶん固まっていない段階での報告というのは,難しいものです.
ある学生への指示をもとに,失敗の少なそうな進め方を探ってみました.

発表環境

何を話すか決める前に,どんなところで話すかを,見直しておきます*1
我々の小ゼミの場合,90分に2人が発表します.時間は計りませんが,質問に十分な時間をとるべきということで,一人あたりの発表時間(質疑抜きで,発表者が話す時間)は15分程度が好ましいとされます.
聴く人は,研究グループの3年生,4年生,修士の大学院生,そして教員です.院生はみな小ゼミ発表を終えており,その発表や質疑のやり方で,4年生(卒研生)も発表することになります.
発表前の段階で,自分のしている研究内容を知っているのは,指導教員と,研究班の同じ人だけです.他の教員・学生は,知らない状態から話を聴いてもらうことになります.

大枠

初回発表としての大枠は,以下の問いの答えを考えていくのがいいかなと思います.

  1. 中心となる対象/手法/技術は何なのか?
  2. その対象/手法/技術に関して,研究室ではこれまでどんな取り組みをしてきたか?
  3. その対象/手法/技術に関して,研究室外ではどんな試みがあるか?
  4. 以上を踏まえて,卒業研究では何をしていこうと考えているか?

「対象/手法/技術」という書き方は,改善の余地がありそうです.研究班で先生や先輩から話を聞いていると,「対象が重要であり,適用する手法・技術は自分で選べる」研究なのか,「手法・技術(の確立や適用)が重要であり,適用する対象は自分で見つける」研究なのかが分かると思います.その「重要なほう」を,最初に紹介すればいいのです.
4項目を挙げましたが,1番目と3番目は,外部の情報(書籍,学会刊行物,Web)を参照してとりまとめることになります.2番目は,研究室内のこれまでの修士論文卒業論文や,学会発表の論文・予稿を読んで整理します.
1トピック1スライドで,PowerPointにします.

磨き上げ

スライド内容,そして話す内容を磨き上げていきます.内容改善のアドバイスを列挙します.

  • 磨き上げというのは,作ったスライドをもとにゼミで話したときに,「これ,おかしいんじゃないの」と言われる可能性を少しでも減らすために行う作業を言います.
  • 図を入れるようにしてください.スクリーンショットでもかまいませんが,いかにも外から取ってきたという貼り方は好ましくなく,箱や丸を配置したり線でつないだりした,概要図(概念図,ポンチ絵)を最低1つ,描くようにしましょう.
  • 日本語の説明が3行を超えることがないようにしてください.箇条書きでうまく項目分け(箇条書きの入れ子も使いながら)をしたり,体言止めを入れたりして書くと,引き締まった印象を与えることができます.「分かる」とは,「分ける」なのです.
  • プログラミング言語を紹介するのなら,サンプルコードの抜粋をスライドに取り入れられないか,検討してください.なお,サンプルコードは,本文(箇条書き)で書くのではなく,箱を作ってその中に入れるのが原則です.
  • 中心となる手法/技術に対して,それを実現するソフトウェアが複数存在するとき,そのソフトウェアが満たす性質,必ずしも満たしていない性質があったりします.全文検索を例にとると「瞬時に検索する」「漏れなく検索する」というのが挙げられます.自分の使いたい手法・技術はどの性質を満たす/満たさないのか,他でその性質を満たさない/満たすものには何があるかを説明することを試みてください.
  • 「単一(単独)」や「複数」が意味を持つなら,言葉や概要図の中で明記しましょう.
  • 「何をしていこうと考えているのか」の前にスライドを一つ置いて,これまでの手法・技術やシステムではどのような問題点があるかを書きましょう.そして,自分の研究が,その問題点を解決しようとするものだというのを,確認してください.

*1:“なぜ”話すのかについては,「卒業研究完成のための教育的配慮」です.噛み砕いて言うと,年度の途中でPowerPointファイルを用意してしゃべり,ディスカッションする経験を持っておけば,最後の卒業研究発表会の負担が軽減されるだろうということです.