9月は科研の申請を考える月間,10月は申請書*1を書く月間です.ここ数年は,努力もむなしく落ちているので,今回こそはと頑張りたいと思っています.
そんな中,本を知りました.2010年8月発行という,出たばっかりの本です.
- 作者: 児島将康
- 出版社/メーカー: 羊土社
- 発売日: 2010/08/17
- メディア: 単行本
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- 研究課題名の付け方(成否例を含む)(pp.62-64)
- 研究の学術的背景では,他人のことよりも自分のことを書く(pp.69-70)
- 独創的な点の説明で「独創的」と書かない(pp.73-76)
- 経費の大小と採択の可否は無関係,最大額要求のすすめ(p.104)
- ゴシック体のすすめ(pp.110-112)
- 文字強調は使いすぎないこと(pp.116-117)
- 科研費がなくても生き延びる方法(p.141,コラム)
- 研究経費の妥当性・必要性は事細かに書かなくてもいい(p.161)
やる気が出てきました.んでも当面は,大枠(why/what/howの組み合わせ)を思案することにします.
申請のいわば「外」の話で,気になったのを引用しておきます.
さて,初めて科研費を獲得した諸君.君たちのラボでは君たちが獲得した科研費はどのように使われているのだろうか? そのラボに属する研究者が獲得した科研費は,一括してラボ全体の研究費として使用する例が多いのではないだろうか? 私はこの使い方には教育的な面から反対だ.科研費はあくまでも研究者個人に与えられた研究費だ.PIとして獲得した科研費はラボ全体で使うのには問題がないが,科研費初心者が獲得したものについては,教育のためにも獲得した本人に任せて使用させる方がよい.獲得した金額でどのくらいのものが買えるのか,実際に経験してみることは,科研費のありがたみを知ることにもなり,将来独立したときに非常に役に立つと思う.
(p.131,コラム)
専門用語を一つ.PIは円周率ではなく,Principal Investigator*2のことです.
内容に関して,科研費をラボ全体で使う(「申請内容以外の用途で使ってもよい」を暗に意味する)と堂々と書いていいものか,読んで少々不安を覚えました.
また最後の「科研費のありがたみ」は,「外部資金のありがたみ」だなと思っています.私自身これまで,教授が取ってきた仕事(研究テーマ)が多いのですが,それでも,教授と別のチャネルでいただいた科研費(分担金を含む)の研究や共同研究は,別立てで使用しており,これは確実に,研究マネジメント能力の一端を担っていると感じています.
かつて,用途の制約や期限に注意して,予算を適切に執行することもまた,研究者の務めだと教わったのでした.
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*1:正確には,研究計画調書.
*2:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20090804/1249333135, Principal Investigator (PI)の仕事 : 大隅典子の仙台通信
*3:『科研費獲得の方法とコツ』では,この科研費LaTeXが一切取り上げられていません.金額が自動計算できて,便利なんですけどね.